内容説明
長崎で被爆した女学生が歩んだ波乱万丈の人生
1945年8月9日午前11時2分。長崎市中心部を原爆が直撃した。
ガレキの中に埋まりながらも、奇跡的に助け出された著者の人生はこの日を境に大きく変転していくことになる。
2026年に96歳を迎える著者は、長崎市の中心部で酒の販売店を営む家の三女として生まれ、10歳のときに両親を相次いで失いました。それでも年の離れた長男夫婦や姉の深い愛に見守られ、健やかに成長していきます。しかし、その平穏な日常は、ある日突然、米軍機から投下されたプルトニウム型原子爆弾によって根こそぎ奪われてしまったのです。
著者は勤労動員された兵器工場で被爆しましたが、九死に一生を得て戦後の生活を始めます。数年後、生まれ故郷の長崎から青森県三沢市に移り住み、米軍基地で働く日本人青年と結婚。しばらくして、米軍宿舎のハウスキーピングを担う会社を創業します。「戦争や原爆を心から憎んでも、人は憎まない」という固い信念のもと、日本文化を米兵たちに伝える活動に尽力しました。さらに乳がんを発症して2回の手術をするなど健康面の不安は尽きませんでした。それでも、「明日をあきらめない」「人生を手放さない」という覚悟のもと、戦後の混乱期から現在まで常に前を向いて生き抜いてきたのです。その記憶と記録は、現代を生きる私たちの心を大きく揺さぶり、あらためて「反戦」「世界平和」について考えさせられます。
戦後80年を超えた今、数少なくなった戦争・原爆体験者の「生の声」が記された、貴重な一冊です。
目次
まえがき
第一章ふるさと長崎に育まれた命
浜口町の商店街は、活気とやさしさにあふれていた
10歳のときに両親を亡くす
城山尋常小学校は、私の記憶に深く刻み込まれた場所
長崎への感謝を忘れたことはない
何より大切なのは、毎日の普通の営み
第二章戦争と原爆に奪われたものは、もう戻ってこない
戦争の記憶を綴った手紙を、孫娘に送る
穏やかで自由な長崎の空気が、徐々に険悪になっていく
戦況がさらに悪化し、女学生の私も兵器工場で働くようになった
そして、8月9日がやってきた
地獄のような光景の中、助けを求めて歩く
姉と兄との再会で、ようやく活路が開かれた
戦後になって、原爆の健康被害の詳細が分かってきた
第三章生き抜く覚悟があれば、何とかなる
快晴の日は、たまにしかないから価値がある
姉の結婚をきっかけに、戦後の私の人生が大きく動き始めた
私の夫は世界一、かもしれない
米軍三沢基地に出入りするようになった
ハウスキーピングの会社「寿商事」を創業
人の善意を信じていれば、きっと救われる
乳がんになって、生き抜く力が強まったみたい
第四章平和のバトンをつなぐ一人になりたい
人と人が協力する橋を架け続ける心
穏やかな三沢暮らしが、夢みたいに幸せ
食にこだわるのは、空腹に苦しんだ戦争体験のせいかも
老いるのは、別に特別なことではない
皆で力を合わせて、記憶をつないでいく
第五章そばには、いつも家族がいてくれた
つながり続ける家族たちに感謝
息子と孫の成長と決断
東日本大震災で改めて知った、家族の絆
この家族が、私たち夫婦の長寿の源
あとがき
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