内容説明
アウシュヴィッツ絶滅収容所でユダヤ人たちに想像を絶する人体実験を重ねたメンゲレ医師は、戦後、南米に逃れ、一九七九年に死亡するまで、捕まりも裁かれもせずに生きたのだった。その逃亡生活の真実をジャーナリスティックな手法で見事に描いた傑作小説。ルノードー賞及び文学賞最高賞(プリ・デ・プリ)受賞作。/解説=マライ・メントライン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ザビ
14
「米ソ冷戦が泥沼化していく間にペロンは欧州のゴミ箱を漁ってリサイクル事業を立ち上げる。自国を何千何万のナチス、ファシストに開放すれば、有能な兵士、技術者、科学者、医師が入ってくる。アルゼンチンに戦争犯罪人を招き、ダムを、ミサイルを、原発をつくり、超大国に変貌させようという訳だ」ナチス戦犯が南米で逃亡生活を送れたのは、一国リーダーの野望があったわけだ。地政学は道理を越えた合理的判断の世界なんだな。良し悪し問うても無意味な気もするが、結局アルゼンチンが大国になれなかったのは一つの答えなのかも。美学がないから。2026/05/04
TI
8
アウシュヴィッツの医師、メンゲレのノンフィクション。南米のナチサポーターや元ナチによる機関があるしまたモサドも中東戦争以降はナチ刈りはやめたようで運もある。実家が太いのも金銭援助受けられた。現在ならすぐ写真取られてネットで拡散されるだろうけど。2026/04/16
ののまる
5
単行本読んでいたけど、映画もみたので、もう一回。2026/03/06
コウみん
1
映画「死の天使」の原作。 有名な医師でもあった彼がアウシュビッツの悪魔になり、どれくらいのユダヤ人を虐殺したが、終戦後から死ぬまではいかに存在を消したが。 私もこの原作を読むまでには彼のことを知らなかった。2026/04/18
たらぴ
0
こんな人間がいたという事実がたまらなく恐ろしかった。他人の痛みにはとことん無関心でいられるのに、自分の命にはすがりつく滑稽さ。たしかに戦争という中にあっては、心が悪に傾きがちになる。中にはそれでも正しさを失わない強く美しい人もいるが、多くは影響されて心が憎しみでいっぱいになる。けれど戦争が終わり何年もたち、様々な環境や考えに身を浸してもなお己の考えを変えずに微塵の後悔も感じない人間というのは何か根本的に壊れていると感じた。戦争をおこす人間というのは、多分この男と同じ類だと思うと今の世が理解できる気がした。2026/04/17




