内容説明
1976年、春。深刻な挫折感とともにロンドンを去ったピーター・シンクレアは、知人から仮住まいを許された別荘でひとり執筆活動に着手する。時に寝食を忘れ、のめり込むようにして改稿を繰り返したすえ、男はついに〈夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)〉という名の架空世界を見出すが、緻密に織りあげられた島々のヴィジョンは、やがて現実そのものを侵蝕しはじめ──英国SF界の孤峰にして、同国文学界でも脚光を浴びた巨匠が贈る、独創性あふれる文芸SFの傑作。/解説=大森望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おだまん
13
現実と幻の世界との交差と融合。不死と記憶のバランスを織り込み楽しいものではなかったんですが癖になりそうななんともいえない読書感(褒めてる)2026/03/21
アプネア
12
非常に内省的な語りで、ピータというひとりの男の孤独や愛への渇望に深く踏み込んでいる。まあ、プリーストなんで、現実と虚構の境界線が曖昧で、読み手にある程度の解釈を委ねているんだけど。妬み嫉みの感情に徹底的に焦点を当てたところが、少々まどろっこしく、読む手が鈍ってしまった。最終的に文学に昇華させるのだが⋯。 2026/06/06
medihen
10
やっぱりプリーストは難しい。現実と虚構が向かい合わせとなる物語の構造の中で、どちらでもありのままの自分が受け入れらない主人公。その果てに肯定(原題:The Affirmation)されるものは何か……なんてことを考えましたが、結局、プリースト作品は登場人物のリアリティとストーリーの虚構性の衝突で生まれる「雰囲気」を楽しめばいいや、という諦めの境地に達しました。感想長い版 → https://medihen.hatenablog.com/entry/2026/04/20/1251422026/04/20
しゅー
9
★★私小説みたいだなというのが第一印象。著者の前書きを読まなかったら、最初の50 頁で読むのをやめたかも。挫折した若者が田舎に引きこもって自分の過去を文学作品にまとめる。そんな感じの陰々滅々とした話が続く。信頼できない語り手的なところも含めて「一時期はやったよね、こういうの」と思ってしまった。しかし70頁前後から、やっとプリーストらしく幻想的な話になってくる。そこからは作者の術中にはまって「夢幻諸島」の世界を堪能した。我々の人格=記憶なのだろうかとか色々と考えてしまう。ラストは読者にボールを渡された感じ。2026/05/05
さな
6
SFではあるんだろうけど、幻想小説っぽくもある。虚構と現実が交互に描かれていて、物語的にはあまり大きな展開はない。視界と認識が奪われていくような感覚になる不思議な作品だった。終わり方がふんわりしているけどそこが一番好き。2026/03/27




