内容説明
CEFR-CVでは、CEFRから何が更新され加筆されたのか。著者が想定する具体的な例や、勉強会や研修会で出てきた疑問の声を紹介しながら、これらをわかりやすく紹介する。また、言語教育にどのように生かせるのかについても記す。
■「はじめに」より
2018年にCEFR-CVの試行版が公開されると、早速、更新された「仲介」の箇所を各々で読み始めました。ですが、抽象的な記述も多く、理解はしたものの、その理解が本当に正しいのかどうか自信が持てずにいました。そんな折、たまたま互いにCEFR-CVの理解に苦しんでいることを知り、一緒にCEFR-CVの全文を読むことにしました。分担して翻訳し、月に一度、内容と解釈を確認しながら意見交換を重ね、1年間をかけてゆっくりと読み進めていきました。まずはCEFR-CVとCEFRとの関係性を理解することから始め、必要に応じてCEFR-CVの背景となる論文も参照しながら行われたこの作業は、日常の業務から離れた楽しい時間でもありました。
その作業がひと段落した頃、「欧州日本語教育研修会」(国際交流基金パリ日本文化会館主催)において、2020年には「Mediation(仲介)から考える日本語教育実践」というテーマで櫻井が、2021年には「CEFR Companion Volume (CEFR-CV)って何?」というテーマで奥村が講師を務めることになりました。これらの研修会は、自分たちの理解を再考する良い機会となり、これと並行して、筆者らの協働活動から得た知見を整理して論文等の執筆にも取り組みました。
本書は、筆者らがCEFR-CVを読んで考えたことを、広く、多くの人と共有したいという願いから執筆しました。本書を通じて、言語教育に関する対話の輪が広がっていけば幸いです。
目次
第1章 CEFR-CVの基盤となる考え方
1 CEFR-CV出版の背景
2 複言語・複文化主義
3 複言語・複文化能力
4 社会的行為者と言語活動
5 言語教育の目標
6 行動志向のアプローチ
7 授業で用いる教授法
8 評価
第2章 CEFR-CV全体に関わる共通の更新ポイント
1 カテゴリーとスケールの構成の可視化(ポイント(1))
2 スケール作成上の考え方の明確化(ポイント(2))
3 Pre-A1レベルと年少者に関する記述の追加(ポイント(3))
4 A1レベル・Cレベルの精緻化(ポイント(4))
5 多様な言語使用者に向けた多目的化(ポイント(5))
第3章 【コミュニケーション言語活動】【コミュニケーション言語能力】で更新されたこと
1 今どきの言語活動を描いたOnline系カテゴリー
2 楽しむ言語活動を描いた【読む理解】のスケール
3 大幅に更新された〈音韻の制御〉のスケール
4 満を持して登場した【複言語・複文化能力】カテゴリーとスケール
第4章 「手話」について更新されたこと
1 CEFR-CVで「手話」が大きく取り上げられた背景
2 手話言語の特徴および音声言語との共通点・相違点
3 記述文の更新とスケールの追加
第5章 「仲介」について更新されたこと
1 CEFR(2001)における仲介
2 CEFR-CV(2020)における仲介
3 仲介活動
4 仲介の方略
5 仲介者の姿
6 「仲介」の背景にある考え方
第6章 CEFR-CVを参照した七つのアイディア
1 CEFR-CVを参照した実践の見直し
2 CEFR-CVを参照して得られた新たな知見
CEFR-CVスケールリスト
おわりに
文献
索引
感想・レビュー
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