内容説明
生涯をかけて各地を旅し,人々の声に耳を傾けつづけた宮本常一.『忘れられた日本人』をはじめとする仕事は,従来の日本像を見直す民俗学の成果であるとともに,民俗学を超えて,多大な影響を与えてきた.網野善彦,司馬遼?太郎ら,宮本の言葉と行動を受けとめ独創的な仕事を成した人々を通して,今に生きる宮本民俗学を考える.
目次
プロローグ 故郷・周防大島から
旅の原風景/対照的な二人の祖父/出稼ぎと移民の島/女の世間/民俗学への道/仕事と評価/宮本常一を受け継ぐ人びと
第一章 明治維新を聞き書きする――鶴見俊輔と『日本の百年』
庶民から見た明治維新/干支でひとまわり六〇年という時間感覚/明治百年記念の国家事業に対抗/『日本の百年』の方法/鶴見俊輔にとっての聞き書き/宮本常一と思想の科学研究会/近くて遠い過去
第二章 世間師の発見――安丸良夫と民衆思想史
ある世間師との出会い/宮本常一の大阪時代/『旧事談』の新規性/安丸良夫の民衆思想史への影響/民衆史研究者との距離/農村出身者としての感覚
第三章 非農業民への視座――網野善彦による歴史の読み直し
非農業民への着目/網野善彦と日本常民文化研究所月島分室/「百姓」とは何か/東日本と西日本/海民の世界/宮本常一再評価に先鞭/宮﨑駿アニメへの示唆
第四章 離島から日本を見る――谷川雁のコミューン構想と島尾敏雄の「ヤポネシア」論
離島振興という問題/島の文化/谷川雁とトカラ列島臥蛇島/現代のコミューンを幻視する/リアリズムとロマンティシズム/島尾敏雄の「ヤポネシア」論/「ヤポネシア」論の広がり/宮本常一の南島論
第五章 「土佐源氏」をめぐって――石牟礼道子と詩的インスピレーション
「土佐源氏」誕生/『忘れられた日本人』という書名/石牟礼道子の「土佐源氏」評/『遠野物語』の受容/「餓鬼阿弥蘇生譚」としての「土佐源氏」
第六章 「される側」からのルポルタージュ――本多勝一の方法
森崎和江の宮本常一批判/調査地被害/「される側」からの衝撃/庄屋の台所の五〇個のハンコ/アイヌ文化を記録・保存する
第七章 人の移動と文化の伝播――司馬遼太郎と『街道をゆく』
土佐で稼いだ長州大工/司馬遼?太郎との面会/傍流から歴史を見る/『街道をゆく』における宮本常一への言及
エピローグ 「日本」をめぐって――鶴見良行のアジア学
海から見た日本/個別性と普遍性/小川徹太郎による批判/鶴見良行のアジア学/既存の「日本」像への挑戦
主要参考文献
図版出典一覧
あとがき



