内容説明
【第3回京都文学賞受賞作】
怪獣だって恋したい――。
現実に絶望する小日向さんと、千年を生きるゴンス。
「夜の京都」で出会ってしまった二人の運命の行方は?
儚くも、淡い希望が揺れては浮かぶ、新世代のファンタジー。
●あらすじ
肉親からの暴力や容姿のコンプレックス、叶わない恋に苦しみ、生きるのが辛い小日向。彼女は、「夜の京都」に落下し、これまでの記憶を失った。そこで出会ったのは、土蜘蛛の怪獣ゴンス。物忘れが激しいため、「ビボう六」という帳面を持ち歩き、忘れたくないことを書き留めているのだった。ゴンスは、小日向が元の世界に戻れるよう手助けするうち、恋心をどんどん募らせてゆく――。
装画:西村ツチカ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
遙
24
京都文学賞受賞作。書店で惹かれて手に取った一冊。美くて優しくて、どうしょうもなく悲しい、夜の京都にじんわり綴られる怪獣の恋。 凄く好きでした。 [美しいから愛するのではなく、愛しているから、美しいのです。] [[死なないで]って言ってほしいんじゃなくて、好きな人に、[ここにいて]って言って欲しいの。] 心に響き残る美しく、儚い言葉たち。 自分を好きになれない、愛されたい、そんな渇望を優しい夜で癒してくれる一冊。 この著者さん、今後もチェックしていきたいです。2023/12/09
miu
10
夜の京都は異世界。怪獣(妖怪?)は何年だって生きるし、恋だってする。現実世界では家族や恋人から疎まれ、自己肯定感がとんでもなく低くたって、夜の京都では天使のように愛らしい。妄想なのかもうひとつの世界線なのか、その狭間がシネシネと鳴く蝉がいる京都にマッチしている。これぞファンタジー。2024/02/07
nukowan
9
この作品のタイトル、読み始めるまではなんだかなあ、と思ってたけど読了後は、そうか、と納得する。そんな物語。ネットで話題になってたものを図書館で予約したもので、読む段階でどんな作品なのかは例のごとくさっぱり不明でした。夜の京都のファンタジー。鵺、ときたか。現実パートの重さはちょっと好みじゃなかったですけど「エイザノンチュゴンス」がいいやつ過ぎてよかった。⑥にこだわるロジックもまあ、よかったのではないでしょうか。夜を歩く。あの角を曲がると……。2024/04/16
林芳
4
幻想的だけれど、現実の悲しさが覆う物語。ゴンスは小日向さんなんだな~と思う。小日向さんが願っていた生き方を体現しているのがゴンスだから。ハッピーな終わり方ではない。でも京都の町を舞台にすることで優しさと静けさに包まれている。だから、社会からはじかれている者の辛さが深く心を打つ。2024/05/10
のん
4
京都が舞台というだけの予備知識で借りた図書館本。1000年生きる土蜘蛛のゴンスと人間の女性小日向さんが出会うファンタジー。なんと1998年生まれの作家さん、ファンタジーだけに???なところもあったけどピュアで切ない初恋(失恋)物語に、懐かしいのか何なのかこちらはおばさんだけどぐいぐい引き込まれました。これがデビュー作、才能があるとはこういう人?楽しみな作家さんが増えました。2024/01/19




