内容説明
「書くことがない」という書き出しの伝説コラム、親友へ捧げる詩、「晩年は誰のものでもない」、自らの病について、などコロナ下に書かれた18本を厳選。稀代のコラムニストの遺稿集にして傑作コラム集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
109
2022年6月24日に亡くなられた著者の2020年〜22年4月まで自選した18本のコラムから成る。2021年10月頃から終わりを意識した内容が目立ってくる。「一億総祖父母時代に、大坂なおみ選手をたたえる」は名コラムだ。しかし、病床で書かれた「虫とタイガー・ウッズの父に学ぶ、遠くを見ない処世術」が好みだった「結果的に文字として書き記される文章の内容は、「書く」という具体的な動作の必然として自然発生的な偶然を含んでいる」で始まり、タイガーの父親が昔話してくれた戦場での時間の過ごし方が今の心情に合うと綴る。2023/02/04
もりくに
58
小田嶋隆さんが亡くなって、もう2年。それ以後起きたあれこれに、彼だったら、どんなこと言っただろうと痛切に思うことがある。思いもかけない切り口で、しかも正面から。「コラムの向こう側」というタイトルは、「ちょっとかっこつけすぎかな」と。ウェブに掲載していた「ア・ピース・オブ・警句」から18本。以前、「紙媒体は、完成形という感覚。ウェブ媒体は、DVDなんかのメイキングに近く、完成度は下がるが、多様な読み方ができる」と。5章にそれぞれ、意味深なタイトルが。「晩年は誰のものでもない」という章もあり、胸を突かれる。→2024/10/18
まこみや
55
小田嶋さんのコラムの特異性は、発言や表現の分析を通じて、使用者の意識的・無意識的な意図や真意を、さらに隠された本音や嘘を摘出して、その意味不明や矛盾を露呈させつつ揶揄する方法だった。『日本語を取り戻す』はそのものズバリだし、本書でも大阪維新の推し進める「既得権益」「前例踏襲」批判におけるプロパガンダ手法の分析でも、「させていただく」の用法の読解においても、それは顕著である。「国葬」を「国葬儀」に、「調査」ではなく「点検」と今なお欺く。言葉を愚弄する者はいつか言葉に愚弄される。「私は付き合わないつもりだ。」2022/09/11
ネギっ子gen
53
遺稿コラム集。コロナ下に書かれた「小田嶋隆の『ア・ピース・オブ・警句』」(日経ビジネス電子版)のコラムから18本を厳選。本文イラストも著者。実に味わいがあるイラストと書き文字。連載最後のコラムとなった「○○界に残る『ホモソーシャル』」で、オダジマは「映画界」への不信感を表明。<大切なのは、この種の閉鎖世界では、なぜなのか女性の存在がないがしろにされることだ。必ずそうなる。というのも、女性を大切にすると、ホモソーシャルをホモソーシャルたらしめている均質性が根本から瓦解してしまうからだ>。早逝を切に惜しむ!⇒2022/11/10
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
22
アル中で仕事がなくなった著者に盟友岡康道氏が仲介してはじまったという日経ビジネス電子版の連載。自分の死後に刊行する予定で記事がピックアップされたそう。コロナ騒ぎの始まりからウクライナの渦中まで、この2年間を振り返らせてくれる。気持ち悪いことを気持ち悪いと言えない社会の気持ち悪さ。「自縄自縛」の項、曖昧にされてる気持ち悪さにガッツリとメスが差し込まれていた。ああ、小田嶋センセ。もっとメスを振り回し続けていただきたかった。 2022/11/02




