内容説明
『母の最終講義』刊行後に多く寄せられた「読んでみたい」という声を受け、最相葉月の初エッセイ集、23年の時を経て復刊。
わが心の町 大阪君のこと(映画『ココニイルコト』原案)、声の力、ある退社、私が競輪場を去った理由…etc.今に繋がる、48本のエッセイ。
最相葉月デビュー30周年記念企画
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
78
図書館本。最相葉月を知ったのは、新聞の書評を読んだ時、なかなかいい書評だったので覚えていた。この本は、『母の最終講義』刊行後に多く寄せられた「読んでみたい」という声を受け、最相葉月の初エッセイ集で、23年の時を経て復刊とのこと。幅広い内容が織り込まれたエッセイ集で、彼女の人となりがよく出ていると思った。わが心の町、大阪君のこと、声の力、なんとお呼びすれば、壁の穴、ふくろうはふくろう、ある退社、私が競輪場を去った理由等、今にも繋がる数々のエッセイ集、彼女の書籍を読んで見たい。2025/10/13
nonpono
54
「絶対音感」以来の最相さん。新聞の人生相談は読んでいた。2001年のエッセイ集の復刊。終わりがピリッとしていてテンポが良く読みやすい。わたしの叔母が住む神戸の御影の生まれなんですね。競輪の取材をしていたなんて。「あなたはなぜここに来たのから、あなたはなぜここを去ったのか。私に一切それを問うことのなかった人たちを今、思う。」ふと、若い頃にわたしが熱狂した神宮球場の人たちが浮かんだ。また不登校だった弟さんの一年を「誰もこじあけることのできない固い鍵のかかった密室の一年」と表していたがわたしにもあるなと思った。2025/05/22
まこみや
43
最相葉月は私にとって長く『絶対音感』の人だった。ノンフィクションライターであって、エッセイは余技だと思っていた。先頃『母の最終講義』が出版され、高評価を受ける中で、最初のエッセイ『なんといふ空』に言及しているものがあった。まずこちらを取り寄せで読んでみた。私の中で最相の位置はノンフィクションの作家からエッセイストに一変した。しかも名メッセイストとして。そのエッセイは、流れ続ける生の営みの中でふと立ち止まってしまう瞬間を切り取って、そこに人生の機微や物の哀れを余韻として残す。まさにエッセイの真髄ではないか。2024/11/22
アル
3
『絶対音感』で知られる前の、サイショーさんの23年を経て復刊されたエッセイ集。冒頭の「わが心の町 大阪君のこと」を読んでいきなり引き込まれる。余韻が素晴らしい。全編通じてサイショーさんは喜怒哀楽を露わにはしない。読者のイマジネーションを閉じ込めない。表現をギリギリのところで止めて、後は読者に委ねる。まるで手練れの話芸のようだ。エピローグの「手紙」。このエッセイ集のプロローグとの対比を想い、ふーっと息を吐く。そして唸る。 変わらずにいることの誇りと哀しみを知る者が書けるエッセイ。2025/11/19




