内容説明
この恋は、地獄につながっている――。女はなぜ、男のために火つけをし、火あぶりになったのか(「八百屋お七」)。女はなぜ、道ならぬ恋におぼれ、自ら鉋で胸を突いたのか(「樽屋おせん」)。女はなぜ、ふしだらな下男と駆け落ちし、心を喪ったのか(「お夏清十郎」)。江戸時代の人々の注目の的になった恋の事件の裏には、悲しい“まこと”と、優しい“ほら”があった。心中、駆け落ち、不義密通。江戸のスキャンダルをまとめた井原西鶴の代表作『好色五人女』を大胆に新解釈した、胸に刺さる悲恋時代小説。
目次
八百屋お七
おさん茂兵衛
樽屋おせん
お夏清十郎
おまん源五兵衛、または、お小夜西鶴
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KT1123
2
井原西鶴の「好色五人女」の八百屋お七、おさん茂兵衛、樽屋おせん、お夏清十郎、おまん源五兵衛の各話を、作者が自在に膨らませた作品。相手の男を強く想うあまりに哀しい結末に終わるものが多い。薬の行商人山善が各地から話題を集めて井原西鶴に提供、西鶴はそれを浮世草子のネタにするという体裁。柔らかな筆致に油断していると、結婚シビアな内容だったりする(^^)2026/01/22
Ryo0809
1
井原西鶴の好色五人女をモチーフにした短編集。原典は、浮世草子という町人向けの大衆小説であったという。未読ではあるが、いかにも娯楽に嗜好をあてた読み物と思われる。当時の掟を破るかのような、ある意味、奔放な女たちの物語が好まれたということは、いつの世も人は激烈な(ゴシップ沙汰の)恋に憧れていたということだ。作家・周防の手によって、情緒豊かにも、奔放にも、艶めかしくも描き出されている。「ほら」の中にある「まこと」。これをどう描き出すかは、昔も今も同じだ。2026/01/02




