内容説明
少子化と人口減少で危機に陥っている日本。この閉塞状況から抜け出すには、日本列島で暮らしてきた人々に固有の生態文化を見つめなおし、現代日本の社会病理の正体を的確に見極める必要がある。言語学や民俗学、歴史学、考古学、人類学、さらにはサブカルチャーなどを材料に、日本社会の基層にあるものを西洋との対比のなかから明らかにし、原始古代から現代・未来までをつらぬく、文化の一貫性を読み解く。国家や主権権力の本来の姿を描き出す、新たな知の考古学の試み。 【目次】第1章 むらの生態――日本の生態I/第2章 都市の生態――日本の生態II/第3章 くにのちから――日本の生態III/第4章 環境と文化――生態社会学の論理/第5章 未来と制御――未来映画の分析から/第6章 近代の暴力――世界史の生態/終章 日本社会のゆくえ
目次
はじめに/序章 生態社会学のねらい/1 本書の見取り図──日本社会を生態社会学で読み解く/閉塞する日本の原因をさぐる/生態社会学で考える/日本社会の生態文化とその変容/2 人間生態学から生態社会学へ/生態社会学とはどんなものか/シカゴ派都市社会学の人間生態学/自然や農から切り離された人間像/都市化は社会を解体する/本書の構成/第1章 むらの生態──日本の生態I/1 農と地域が見えない時代に/農や地域が見えなくなっている/多摩ニュータウンの暮らしから/全国総郊外住宅地化?/2 「むら」と「国」の密接な関係/家・村・国/行政村と自然村/「むら」の原義/弥生と国/家とは何か/3 「家」/村は家でできている/生活共同集団としての家/族について/4 家による次世代再生産/結婚と出生、あるいは養子縁組/人の出入りが作る家々の関係/家の婚姻戦略/男系と女系/5 家と先祖/柳田國男の『先偀の話』/戦後開拓村が暮らしを確立したとき/家が地域を過去と未来につなぐ/日本の仏教/輪廻/6 道がつなぐもの/国絵図が示すもの/異民族の首を埋めた「道」/東北のヤマト国家への組み込みは武力制圧か?/第2章 都市の生態──日本の生態II/1 首都のまつりごと/首都という中心/まつりごと/外交と意志決定/内政による社会の動員/稲作がうながす社会の拡大再生産/戦争と軍隊/2 壁と狼/ゾンビと都市/王の起源/日本の狼/日本の統治も暴力から?/3 古代の都城/ヤマトの都/飛鳥の宮の小ささ/蝦夷征伐と飛鳥での饗応/蝦夷とヤマト──阿倍比羅夫・坂上田村麻呂/隼人の相撲/都の姿が変わる前の王権とは/4 邪馬台国の謎/『魏志』倭人伝の記述/女王国・邪馬台国/列島の国々/王の共立/女王を立てる/5 女王の力/卑弥呼の鬼道/飛鳥の都のまつりごと/纒向の桃の実/琉球王朝と伊勢の斎宮/大地と森と海の生命力/6 イチ/市の原理/歌垣としての市/町/都市の誕生/7 ミチ・チマタ・チカラ/道と衢/「ち」の循環/国の力の中心・都/第3章 くにのちから──日本の生態III/1 古墳と王権/前方後円墳とヤマト王権/発生に吉備と出雲の影/北部九州の鏡/ヤマト王権が持つ力/2 前方後円墳の広がり/前方後円墳の分布/日向と上総・埼玉と肥後/置賜・会津・甲斐/奥州の古墳と内乱/3 文化の広がり/中央文化の採用/前方後方墳と出雲/装飾・石人・葺石・埴輪/古墳と神社/古墳と農地開発/4 開発する王/条里制と古墳/水田と前方後円墳/古墳時代の合理性/農地開発と国土の展開/未分化な複合施設としての古墳/開発王というイメージ/5 王の決定/王とは何か──群れを率いる者/なぜ王は一人なのか/魚群と哺乳類の群れ/社会性昆虫と多細胞生物/生物の群れの三つのあり方/決定を行う特異点としてのリーダー/リヴァイアサンとしての国家有機体/6 王が必要となるとき/王と決定/自然の声を聞く/自然と人間を媒介する王/見えないものを見出す力/社会を見る/7 社会の中の王/決断する王/三つの環境統制/本書前半の要約──日本社会の生態学/人間の生態社会学へ/第4章 環境と文化──生態社会学の論理/1 人間の生態学をはじめるために/多様な環境──言語と道具/文化の意味を探る/生き物のむこう側にある環境/2 環境とエコロジー/環境とは何か/境目の外に境はない/重なり合う様々な環境/何ものかにとっての環境/環境とシステム/環境とエコロジー/身近な環境・遠い環境/3 文化とは何か/文化のソフトとハード/文化の意味と語誌/culture──「耕されたもの」/農耕・牧畜以前にも文化はある/道具に見られる社会性/文化は社会のうちに再現され持続する/文化──自然を加工して使うこと/生命と環境/4 言語について/農地と言語/プラグマティズムの定理/文化と時間・空間・社会/ソシュールの言語論/偶然から始まる構造/5 文化の発し手と受け手/言語という現象/文化における発し手と受け手/種によって異なる環世界/6 人間の環世界/人間に特徴的な環世界とは?/言語が発生する社会的状況/脳と人間精神/身体の外と内に広がる環世界/7 社会の拘束・自我の創発/人間の環境/環境としての身体/自我の二側面──Iとme/自我の社会性と創発性/8 生きものの利用と制御/変化する生命と世界/生きていることを知っている人間/道具/意図を伴う環境改変能力/生への介入──農耕と牧畜/人間の集団の統制/だが生きものは制御できない/意図と文化/9 込められた意図とそのゆくえ/人間の一次的環境としての文化/人工的な環境の中に暮らす/文化が社会を分かち、社会が文化を分かつ/過去に埋め込まれたものが見えなくなっている/文化の意図とそのゆくえ/見えない未来を分析する/第5章 未来と制御──未来映画の分析から/1 技術と文明/イノベーションが開く未来社会?/人間だけの、人間のためだけの世界/その背後にあるバーチャルな空間/発展する直線的な時間/発展史観の先にあるものとは──共通夢としての映画/2 映画に見る未來/『ブレードランナー』──先端技術が導く暗い未来/『世界の終り』──人類の終末/『地球最後の男』──生きた死体と生き残り/『マッドマックス2』──暴力がすべての世界/『ドラえもん』の未来/手塚治虫から藤子不二雄へ──ファウストとドラえもん/3 終末の日/共通夢に現れる無意識の構造/『地球最后の日』──現代のノアの箱舟/『渚にて』──世界の終わりの迎え方/『スターシップ・トゥルーパーズ』──敵対する異民族/「21エモン」と「モジャ公」/『地球の静止する日』──神としての宇宙人/終末と選択──神・男女・異文化集団/主権と技術の善と悪/4 ユートピアとディストピア/技術が実現する平和な社会?/ユートピア──どこにもない場所/桃源郷と農の暮らし/現実変革の手段としてのユートピア/ディストピアを実現する技術/5 信仰と終末観/技術と主権の結びつき/『ソイレント・グリーン』──食料の未来/『火の鳥・未来編』が描く人類の終末/日本の信仰の中のいのち/『オーメン』──現実には訪れない終末/第6章 近代の暴力──世界史の生態/1 近代社会とその前/発展史観とディストピア/革命と暴力・信仰と資本主義/労働者の生/暴力と私欲はどこに現れるのか/開発王・統治王・祭祀王/交易王・征服王/2 農と開発がもたらす力/農がもたらすもの/人口増大と開発圧力/世代効果──技術革新は後戻りできない/人間の分断と国家の生成/道具から権力は生まれる/非権力的な秩序力/3 牧畜という技術/牧畜と暴力/動物の生を管理する技術/奴隷制/4 遊牧国家が生み出したもの/遊牧民の歴史/騎馬という戦闘力/農民の掠奪移住/暴力による掠奪から始まる世界史/日本には乏しい牧畜文化/日本とモンゴル/5 ヨーロッパの暴力/アレクサンドロスの征服/ローマ帝国/ヨーロッパに内在するもの/掠奪が起きる場所/6 暴力のゆくえ/日本で/ホモ・サケル/キリスト教/近代グローバリズムの正体/終章 日本社会のゆくえ/1 社会の原理を問い直す/国家という暴力体/銃という技術/日本社会は真似をする/安定システムとしての日本社会/民主主義と暴力/権力の分かれ目はどこにあるか/2 人口減少社会/正常と病理──少子化という病/東京一極集中がもたらすもの/競争と淘汰──技術で社会問題を解決する/開発王と暴力王の影/機械には病気も間違いもない/生きものを機械として見ること/3 日本社会を取り戻す/これは自分たちの復興ではない/戻ろうとする被災者/限界集落は消えない/危機の時代の農と地域の役割/上からの声が地域と農を断つ/社会精神の倒錯/繰り返しの大切さ/私たちに必要なことは何か/参考文献/あとがき
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- 俳句 2018年10月号 雑誌『俳句』



