内容説明
妻を亡くし、息子の夏樹を一人で育てるフリーライターの海老原。そんな彼に雑誌『月刊クリスタル』編集部から、戦後の殺人鬼が起こした事件をもう一度掘り下げて検証してほしいとの依頼が入った。殺人鬼の名前は北川フサ。彼女は戦後の混乱期に5人の男を立て続けに殺し、死刑となっているという。取材を始めた海老原は、フサが赤の他人である少年とともに行動していたことを知る。そして、その当時の少年は、今も存命だった。単なる週刊誌の連載のはずが、いつしか海老原は、フサに導かれるように、事件に没入していく……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
243
宇佐美 まことは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。戦後の混乱期をキル・ビルの如く逞しく生き、連続殺人の罪で死刑になったハンサムウーマン北川 フサの物語、大変読み応えがありました。 https://publications.asahi.com/product/25762.html2026/01/20
パトラッシュ
224
先日読んだ奥田英朗の昭和史三部作が戦中戦後を力強く生き抜いた若者の群像劇なら、本書は飢えと暴力と恐怖の渦中で辛うじて生きた弱者のドラマか。戦後の混乱期に5人殺しで死刑になった女について調べるフリーライターの活動が、存命する関係者の閉ざされた記憶をこじ開けると同時に取材者自身の抱える苦しみと有機的につながっていくプロセスが見事だ。戦争で一切を失った女子供が理不尽な暴力にさらされ、無数の死を目撃して怒りだけを支えにした時代だからこそ、たとえ殺人という形であれ信じられるもののため命を賭ける姿は美しく鮮烈だった。2026/03/31
イアン
198
★★★★★★★★★★タイトルが美しく響く宇佐美まことの長編。妻を事故で亡くし息子と暮らすライターの海老原は、懇意にしていた編集長からある人物についてのルポを依頼される。戦後に5人の男を殺害し死刑となった女殺人鬼・フサ。事件を掘り下げる中で、フサがある少年と行動を共にしていたことを知り――。なぜフサは稀代の殺人鬼と成り果てたのか。取材を続ける海老原の視点は、やがて一人の戦争孤児の記憶に置き換わっていく。戦後という時代に蹂躙された人々の尊厳。それらを護るために戦う絆の強さは「血の繋がり」を遥かに凌駕していた。2026/01/26
いつでも母さん
176
白には200種類以上あると言う。初めて知った色【月白】カバーの装画は読後、私の中で憎しみの熾火となった・・このしんどさは宇佐美まことだ(当方比)戦後の混乱期、連続殺人事件の犯人・北川フサを、今あらためて追いかけるライター海老原の苦悩もまた憎しみが根底にあった。やばいよ、私も北川フサに魅入られて、心拍数が上がるのを止められない。苦しさを凌駕する快感に、人の持つ闇があるのを突き付けられて狼狽える私がいる。心が解放されるのはいつ?一生持って生きて行けと心の奥で自分が言う。そんな圧巻の本作、ファンは堪らないはず。2026/01/30
美紀ちゃん
148
北川フサが刃を向けたのは女には無情な社会そのもの。一気読みだった。靖男はフサに魅了された。盤石で揺れ動かない精神を体現した不動明王。戦争孤児として生きることを強いられた少年はフサと一緒にいることが唯一の自分の居場所だった。血が繋がっていなくても家族だった。フサが逮捕されまた靖男は1人に。寂しさや怒りや憎しみ抑えきれない思いを流れる水に持っていってもらうこと。彼が抱えていた誰にも知られたくないものは川に還っていく。ラストの伏線回収はパズルのピースがピッたりとハマったような爽快感!びっくり。すごい。感動した。2026/04/04
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