遊び・育ち・経験――子どもの世界を守る

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遊び・育ち・経験――子どもの世界を守る

  • ISBN:9784750348063

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内容説明

子どもとかかわるすべての人に

子どもの貧困の再発見から10年。
この10年間の政策・実践・研究を批判的に検討し、
“子どもの貧困を議論する枠組みを提供する。
新・スタンダードの誕生!


【推薦します! 】
■出口治明(立命館アジア太平洋大学(APU)学長)
子どもの貧困は、わが国最大の課題の1つだ。私たちは「自分事」としてこの問題に立ち向かわなくてはならない。子どもは私たちの未来なのだから。

■荻上チキ(評論家)
あなたは誤った「貧困イメージ」を受け取っていないか。自己点検のためにも、そして教育や議論のためにも、大きな礎(いしずえ)となってくれるシリーズだ。

■宮本みち子(放送大学・千葉大学名誉教授)
子どもの貧困問題を議論する枠組みを与える力強いシリーズ。「失われた20年」に進行したこの国の貧困化を直視し、子どもの貧困への取り組みで社会を変えよう。

■湯浅誠(社会活動家/東京大学特任教授)
「子どもの貧困」は、知られているようで、知られていない。だからこそ、このシリーズによって、芯の通った国民的理解が広がることを望む。

■秋田喜代美(東京大学教授)
子どもや家族、社会のために、課題と同時に希望を示す灯になるにちがいない。わが国が直面している課題を根源的に問う、子どものための貧困研究の集大成。


子どもの貧困の議論で初めて「遊び」を位置づける。子どもの発達にとって「遊び」は重要な要素だが、これまで正面から取り上げられることはなかった。本巻ではこの間隙を埋めながら、育つ/育てる営みを総体として理解し、子どもの貧困の議論を豊富化する。

目次

「シリーズ・子どもの貧困」刊行にあたって[松本伊智朗]
序章 子どもの世界の中心としての「遊び」[川田学]
1 「遊び」をどう議論するか
2 子どもにとって「遊び」とは何か
3 遊び相手の偏りと子育ての孤立
4 「遊び」が生まれる場と関係
第Ⅰ部 遊びと経験の意味
第1章 貧困と子どもの経験――子どもの視点から考える[大澤真平]
1 子どもの経験を問うこと――はじめに
2 子どもの経験の背景――家族と市場化された生活
3 子どもの経験――遊び、余暇活動を中心に
4 子どもの経験から見えてくるもの――おわりにかえて
第2章 生きるためにあそぶ――あそびが見えてくる社会にむけて[塩崎美穂]
1 あそぶこと、それは人間が生きようとする意欲――はじめに
2 一人ひとりがちがっている仲間とあそび――社会的課題への応答として
3 自分を表現するあそび――文化的差異の闘争から文化的多様性の豊饒さへ
4 なぜヒトはあそぶのか――生きがいのなさを超えて生きるためにあそぶ
5 貧しさに抗する希望としてのあそび――おわりに
第3章 遊びと遊び心の剥奪――障害と貧困の重なるところで[赤木和重]
1 障害児にとっての遊び――対立する2つの立場
2 見過ごされた視点=大人が遊んでいるか?
3 「大人が遊ぶ」ことの重要性
4 なぜ「大人が遊ぶ」ことが視野外に置かれるのか?
5 大人が有する「遊び観」
6 自閉症の子どもがつきつける私たちの「遊び観」の狭さ
7 遊び観の転換と拡張――実践事例の紹介を通して
8 障害と貧困の重なり
9 貧困家庭に育つ障害のある子どもの遊び
10 障害と貧困が奪うもの――子どもの遊び心・大人の遊び心
第Ⅱ部 子どもの世界を守る実践
第4章 遊びと育ちを支える保育実践[山岡真由実]
1 保育所から見える「困難」を抱えた保護者と子どもたちの実態
2 乳幼児期の育ちに不可欠な遊びの可能性
3 まとめ――すべての子どもたちが共に楽しめ、達成感をもって、明日につながる保育
第5章 みんなが気持ちいい学童保育[長谷川佳代子]
1 学童クラブという場
2 学童で出会った親子たち
3 学童クラブは「育つ権利」を育むところ――おわりにかえて
第6章 やはり、授業がプレイフルであること[石川晋]
1 授業がプレイフルであることが、一応の答えかな…と
2 「伴走者」として走る日々
3 都内の中学校で一緒に考えましょう
4 千葉の定時制高校で一緒に考えましょう
5 千葉の小学校で一緒に考えましょう
6 中国地方の中学校で一緒に考えましょう
7 ぼくの教員としての歩みに少しだけ伴走していただきましょう
8 大規模校に転出しました
9 再び田舎の教師になりました
10 太鼓の学校のその後に伴走していただきましょう
第7章 地域子育て支援拠点事業の多様なあり方――夜の多世代型子育てサロンはじめました[小林真弓]
1 NPO法人ねっこぼっこのいえの概要
2 ねっこひろばのよくある1日
3 身近な出会いから知ること、始まること
4 多世代多様な場の可能性
第8章 放課後の地域の居場所から考える[山下智也]
1 地域に生きる子どもたちの現在
2 子どもの遊び場「きんしゃいきゃんぱす」実践から考える
3 コミュニティ・アプローチによる支援の視点
第Ⅲ部 育ちの基盤を支える
第9章 子どもの健康と貧困[佐藤洋一]
1 医療現場で出会う貧困世帯に暮らす子どもの姿
2 子どもの貧困・社会的不利益と健康に関する調査研究
第10章 子育ての分断と連続[岩田美香]
1 子育てと教育
2 「育児不安」と社会
3 貧困家庭と子どもの貧困対策
第11章 貧困対策における保育の再定位に向けて――家族のライフコース、労働とレジリエンス[萩原久美子]
1 社会的空間的レジリエンスとしての保育の場
2 家族のライフイベント経験――就労、稼得、養育
3 レジリエンスの創出過程――保育体制と家族生活の再統合化
4 貧困のレジリエンスとしての保育に向けて――その課題と限界
終章 「子どもの世界」を社会全体で守るために――家族主義をどう乗り越えるか[小西祐馬]
1 「子どもの視点」からのアプローチ
2 貧困と子育て・子育ち
3 「子どもの世界」を守るために
おわりに[小西祐馬・川田学]

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

かおりん

26
子どもの貧困をテーマにしたシリーズもの。テキストのような感じ。子どもの貧困は親の障害や貧困が引き起こしているものもあり、周りが気づいて助けてあげればよいが、見過ごされているものも多く問題解決は簡単ではない。2019/09/19

ゆう。

26
子どもの貧困は、遊びの不平等をもたらす。それは、子どもの今を奪い、発達を奪うことだと思った。遊びから貧困をとらえようとする試みはとても野心的だ。だからこそ重要だと思った。そして豊かな遊び環境を整えるためには、豊かな大人の世界が必要だと思った。2019/09/11

りょうみや

21
子どもの貧困シリーズ全5巻の中で本書がタイトルで惹かれてまず読んでみた。子どもの貧困を経済面・教育面から一歩超えて遊びと経験の面から多角的に眺める他にはなかなか見ない珍しい切り口。貧困の面だけでなく、そもそも遊びとは何か、遊びは人生・人の発達においてどのような役目を果たすのかについて色々と考えさせられる。2019/06/29

lovehunteru

2
タイトルに惹かれて。 「特別旅行に行かずとも、一緒に買い物に行ったり、散歩をしたりするだけで子どもの世界は広がる」というのを読んで、確かに働き詰めだったり、心に余裕がなかったら散歩さえも出来ないだろうなぁと思った。 引用や出典が多く読みにくかったけれど、興味深かった。2019/08/03

いなちゅか

0
貧困を考えると家庭環境や労働、経済などに目が向きごちになるが、本書は遊びの観点から考察している。遊べる場所は増えている一方で多くの成長要素が市場化している傾向は看過できない。子どもの自主性を育みつつ、大人の介入を最低限にする上手な付き合い方を模索する必要がある。 2021/12/09

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