集英社文芸単行本<br> 消失

個数:1
紙書籍版価格
¥2,970
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

集英社文芸単行本
消失

  • ISBN:9784087735338

ファイル: /

内容説明

セロニアス・エリスン(通称モンク)はアフリカ系アメリカ人で、大学で教鞭をとりながら小説家として文学的な作品を書いている。彼の目からみると黒人を売りにしたレベルの低い作品が世間ではベストセラーとなっていた。モンクは三年ぶりにロサンゼルスから実家のワシントンに帰り、医師の姉や高齢の母に会う。姉からは母は物忘れが目立つようになり、金銭的にも困りそうだと告げられる。ロサンゼルスに戻ったモンクは教授昇進が決まったことを知るが、小説は十七社から出版を断られていた。エージェントからは「黒人らしさが足りない」などと言われる。
 その後、姉が事件に巻き込まれて再度ワシントンに飛んだモンクは、兄が離婚して多額の借金を抱えていることを知った。モンクは母と家政婦が住む家に引っ越して休職する。エージェントに電話をすると、小説はさらに三人の編集者から断られていた。
 モンクは亡き父の書斎に入り、父が使っていた古いタイプライターで小説を書き始める。一気に書き上げたその中編小説は、モンクにとって到底発表できないような低俗極まりない作品だった。しかし、別名スタッグ・リーで書いたその原稿をエージェントが大手出版社に送ったところ絶賛され、多額の契約金で出版されることに。モンクは、やりとりは基本的にエージェント経由とし、決してばれないようにスタッグ・R・リーを演じようと考えるが、作品は非常に大きな注目を集めていき……。
 2024年アカデミー賞脚色賞を受賞した映画『アメリカン・フィクション』原作小説。
(ERASURE by Percival Everett)

【著者略歴】
パーシヴァル・エヴェレット
Percival Everett
1956年米国ジョージア州生まれ。アフリカ系アメリカ人作家。南カリフォルニア大学卓越教授。『ジェイムズ』(木原善彦訳、河出書房新社)で2024年全米図書賞、2025年ピューリッツァー賞などを受賞。著書にブッカー賞最終候補作『赤く染まる木々』(上野元美訳、早川書房)、ピューリッツァー賞最終候補作『Telephone』ほか。本書を原作とした映画『アメリカン・フィクション』が2023年に公開され、アカデミー賞脚色賞を受賞。

【訳者略歴】
雨海弘美(あまがい・ひろみ)
翻訳者。訳書にミシェル・ザウナー『Hマートで泣きながら』(集英社クリエイティブ)、クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生』(角川文庫)などがある。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

38
結局、消失したのは一体何か。自我か境界か、それとも社会に蔓延る虚妄(フィクション)か。アメリカ、引いては世界の骨格を蝕む”偏見”という病が、あまりにも鋭い風刺によって丸裸に剥き出される。もし自分があの作中作をいきなり読まされたとしたらどう思っただろうか。「真に迫った黒人の物語だ」そう考えた可能性はないか。主人公モンクが生み出し自ら嫌悪するフィクションを読んだときの感情と、現実の家族への(一種平凡な)苦悩との対比が、読者に対する何重もの問いかけになっている。滑稽でもあり痛快でもあり、恐ろしくもある傑作。2026/01/08

アヴォカド

8
偏見やステレオタイプはいけない、つまらない、それこそが差別につながると、割と誰でもわかっていながら、割と易々とそこに陥る。もちろん”ステレオタイプ”に対する皮肉と挑戦であり、さらに、読者や批評家、名作とされる小説や文学に対する皮肉と挑戦でもあるよね。ユーモアも含まれながら、嫌でも我が身を問い質される。2026/01/15

furoyomi

0
はじめはコメディだと思って、声出してバカ笑いしてたのよ。でも途中から人種、芸術、社会、批評などをまとめて風刺して、メタ的視点で考えると、この本自身のこともブスッと刺にきてるの……凄くね?! そんな攻めの小説なのに家族小説としても泣かせるぐらい読ますのよ。 小説内の例の部分は、読んでいて笑っちゃうほど不快だしクソだと思っていたけど、よくよく考えると小説にクソとかクソじゃないとかあるのかね? 自身も無自覚に良い本、悪い本、読む価値のある本、ない本を選別していたのではないか?そんな気にさせられてゾッとしたわ2026/01/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/23055612
  • ご注意事項

最近チェックした商品