内容説明
芸術作品をどう理解し、評価するか、その鍵は「カテゴリー」にある。本書は、分析美学の観点から芸術批評という実践を再検討し、作品のカテゴライズが判断に与える影響について考察する。批評は単なる好き嫌いではなく、鑑賞のルールをめぐる社会的相互作用であり、制度的文脈を構成する創造的営みであることを明らかにする。「批評の哲学」を更新する意欲作。
目次
はじめに
第一章 批評とは鑑賞のガイドである
第二章 鑑賞とは単なる好き嫌いではない
第三章 鑑賞とは卓越性の測定である
第四章 鑑賞はカテゴライズに依存する
第五章 カテゴライズは単なる分類ではない
第六章 ジャンルとは鑑賞のルールである
第七章 ふさわしいジャンルとは制度である
第八章 批評の意義は判断の柔軟性を養うことにある
謝辞
参照文献
索引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
無重力蜜柑
13
良作、なれど異論あり。久しぶりに分析哲学の本を読んだが、明晰な用語法と論理展開で非自明な結論を導くそのスタイルにはやはり無二の美しさがある。無論、後述するように本作は非の打ち所がない無欠の論証では決してないが、少なくともどこに前提や論理の不足、誤謬があるかを指摘するのは相当に容易であり、ある種の人文学上の問題はこのスタイルで取り組まれるべきだと自分は強く感じる(無論、これで全てを汲み尽くせるわけではないが)。著者はまだ博士号を取ったばかりの気鋭の書き手だが、この分野の重要な文献になるのでは。2026/05/13
葉月
4
私たちはコミュニティ内で成立した制度的ジャンルを通して作品を評価しているしそれによって美的快を得られると主張し、アリストテレス的客観主義とヒューム的快楽主義のいいとこ取りを図っている。ジャンル評価基準の均衡点を改変する存在として批評の価値を擁護することにより、安易な相対主義や客観主義を回避する姿勢が巧みだし誠実に見えるが、すべての作品がジャンル的基準を参照して評価されているというのは直観に反してるしあまりに虚しい結論のようにも思える(”本物“が欲しいから)。でもさまざま議論ができそうという意味で面白い2026/05/16




