内容説明
大晦日。仕事でくたくたに疲れて帰宅した瞳を迎えたのは、がらんとした室内。同棲をしていた彼氏が家を出たことを悟り、年末の人混みをかき分けるようにして駅へと向かう。彼氏の姿はもちろんなく、途方に暮れ泣き出す瞳。そんなとき、オレンジ色をまとった女性・乃果から声をかけられる。
「おいしいもの食べに行こう」。突然の誘いに戸惑う瞳だが、つらいときこそ食べなきゃ、と、太陽のようなあたたかい笑顔に思わず頷いてしまう。連れられて入ったレストランで出てきたごま豆乳鍋。その熱さと濃厚な旨さに、またどんどん涙がこぼれていく。こんなにも悲しいのに、ごはんがおいしいなんて――。そして、瞳は思った。「私、生きている」
大晦日に出会ったどん底の二人が「人生最高」のごはんでトラブルを乗り越える! やさしくおいしいご自愛ごはん小説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
139
『ツライときほど食べる。食事って本当に大事だよね』。そんな言葉の説得力を強く感じるこの作品。そこには、”この小説が、みなさんにとっての「最高ごはん」を思い出すきっかけになればうれしいです”、とおっしゃる秋谷さんが初めててがけられた”食”を題材にした物語が描かれていました。美味しそうな”食”の描写にお腹が鳴りそうになるこの作品。成分を裏付け説明するこだわりに秋谷さんらしさを感じるこの作品。“これからも、ごはんを通して生まれる小さな奇跡を物語にして届けていけたら”、という秋谷さんの思いを強く感じる作品でした。2025/12/25
おしゃべりメガネ
90
これまでの作品では医療モノが中心だった作者さんの'ごはんモノ'な一冊です。同棲した彼が突然出ていき、失意、悲しみのどん底にいた主人公「瞳」に声をかけてきたのは、天真爛漫な「乃果」。そんな「乃果」に誘われるまま、「瞳」はとあるレストランへと連れていかれます。そこで食べた豆乳鍋をきっかけに彼女たちの人生が少しずつ動き始めます。本作はとにかくこれでもかと言わんばかりに、食べ物描写のオンパレードです。あらゆるメニューをしっかりと成分含めて説明してくれているので、今後の食生活において参考になるかもしれませんね。2026/01/06
ゆり
6
主人公の瞳も乃果はかなりの毒親育ちで長年苦しんでるのに克服があっさりしすぎているのと、文章も全体的にあっさりめで1ページの余白が多いなという印象。出てくる料理も一般家庭で出る料理多めなので真新しさは少なめ。登場人物の幼い頃に流行ってたものなど実際の年齢と実際流行っていた時期との設定の矛盾なども気になりました。主人公はパニック発作を起こすほど揚げ物がトラウマなのに、自宅でひとりで揚げ物をしてもパニック発作は出てないし、色々と矛盾があってなんだか内容に集中できませんでした。2026/01/24
mokku
3
内容が素直に頭と心に入ってきた。こういうお話も良いなあ。心がほっとする。2026/01/04
わた
3
ひょんなことからルームシェアをすることになった女性2人の生活を描いた連作短編集。なかなか表には出さないし、出せないけれど、みんなそれぞれ抱えているつらい記憶や悩みがあって、それでもおいしいごはんを食べて生きていこうとする人々が描かれていて、すごくグッときた。彼女たちの言葉にハッとさせられながらも、ダメな自分やつらい過去を認めてそれでも生きていくこととの尊さをすごく教えてもらった気がする。秋谷さんの文章はあたたかくてクセがあるわけではないのに、スっと頭に入ってきて人間ドラマがアツくてたまらない。2025/12/29




