内容説明
著者待望の第2歌集。
前作、『光と私語』(2019年)は、短歌界にとどまらず大きな話題となり、第54回造本装幀コンクール読者賞受賞、日本タイポグラフィ年鑑2020入選を達成。
現代における都市の浮遊感にいっそうの磨きをかけて書き綴る圧巻の歌群。
――収録作品より――
鈴の音がするのは鈴をつけた猫 見たことはないけどたぶん白
自販機はみな道の面を向いて立ちわたしの帰路を照らしてやまず
見晴らしの良いところまで歩くとき、上から見えてくるのも景色
歳月は、それからここにある力 誰かの締めた蛇口の固さ
終日をやることのない人間が座ったままで運ばれてゆく
多くの人が長い年月をかけて育んできたこの詩形で、優れた短歌や面白い歌集がこれだけ世間に溢れていても、いまだに自分しかできない表現の余地が残されている――(「あとがき」より)
装釘・本文レイアウト:山本浩貴+h(いぬのせなか座)
写真:篠田 優「Fragments of the place 2017-2019」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あや
16
吉田恭大さんの第二歌集。1989年鳥取生まれ。塔所属。早大卒。第一歌集は不勉強につき読んでいないのだけれど、すごく短歌とは可能性があるなあと感じさせてくれる歌集でした。私は、私より下の世代の方の歌集も積極的に読みたいと思っているのですが、私は私の短歌の固定観念があって、それを突き破るような作品に出会うと、なるほどこういう詠み方があったか、と思います。良いと思った作品はそうではない作品だったりもしますが。 市ヶ谷の駅のホームに対岸の桜が咲いているのが見える/表札を出さない部屋に三桁の番号がありDMの来る2025/12/26




