中公新書<br> 日本人の幸せ―ウェルビーイングの国際比較

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中公新書
日本人の幸せ―ウェルビーイングの国際比較

  • 著者名:内田由紀子【著】
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 中央公論新社(2025/12発売)
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  • ISBN:9784121028877

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内容説明

国や地域別の幸福度ランキングが、しばしば注目を集める。だが、そもそも幸せの基準は文化によって異なる事実を文化心理学が実証した。一例として幸福感は、欧米では個人的な達成感、日本では対人関係と関連する。本書は国際比較を通し、日本社会における幸せの特徴を探る。また、個人の一時的な感情にとどまらず、地域コミュニティ、職場、学校などの現場における持続的な幸福(ウェルビーイング)についても考える。

目 次

第1章 文化心理学とは何か
文化とは何か/文化心理学とは/「当たり前」を疑う/心理学における認知革命/人類学の知見/比較するということ/文化的自己観/選択をめぐる文化差/文化的自己観と自己認識/認知と文化/分析的思考と包括的思考/文化学習が起こるプロセス/教育やメディアが与える影響

第2章 幸福の国際比較
幸せの統計学/幸福というあいまいな概念を測定する方法/ヘドニアとユーダイモニア/幸福の国際比較/平均値の比較、ランクづけの問題点/幸福の意味の歴史的変遷/獲得的幸福と協調的幸福/「幸せすぎると怖い」?/幸福を長続きさせる戦略

第3章 対人関係、集団意識、自己
スモールワールド現象とは何か/個人を超えた集団レベルの資源/結束型と橋渡し型/つながりが多ければ多いほど良いのか?/友達とはどのような存在か/友達を選ぶ国・アメリカ/人付き合いの日米比較/評価懸念と同調圧力/言葉遣いは自己意識にどう影響するか/どんなサポートが幸福感を高めるか/他者理解にひそむ文化差

第4章 主観的なウェルビーイングをどう測定するか
そもそもウェルビーイングとは/経済指標中心の限界/幸福・生活満足・生活の質/協調的幸福/主観的ウェルビーイングをどう用いるか/比較文化的視点から見た課題/測定テクノロジーの進化/国際的な調査・政策枠組みに見る指標/国内の政府機関の調査/指標活用の展望/場のウェルビーイングを動的に把握する時代へ

第5章 幸福をはぐくむ地域コミュニティ
個人の幸福と制度の関係/場のウェルビーイングとは何か/地域コミュニティのウェルビーイング/場所の影響か、個人の影響か/集合活動と相互調整/地域の社会関係資本/地域の幸福感を測定するプロジェクト/自殺率の高い町、低い町/愛着感から開放性へ/幸福、信頼、向社会性の循環/社会的ネットワークの分析から見えること/アートの島が住民にもたらしたもの

第6章 働く人が幸福な職場とは職場のウェルビーイング/企業の組織風土の4類型/職場の協調性の効果/「保険」としての協調性/2階建てモデルで日本社会を読み解く/組織の設計/日本で求められるリーダーシップ像とは/雇用の流動性が社員に与える影響/採用文化の日本的な特徴/なぜ日本の職場は関係性づくりに消極的なのか/自然とつながりが生まれる「場」をつくるには

第7章 教育現場のウェルビーイング
ウェルビーイングは新たなキーワードなのか/これまでの活動に新たな意味づけを/多様なルートをつくり出す/PISAによる国際比較/第4期教育振興基本計画がめざすもの/全国学力・学習状況調査の結果から/教員のウェルビーイング/ハブとしての社会教育主事

第8章 これからの時代のウェルビーイング
価値観はどのように生まれ、受け継がれるのか/グローバル化による価値観の変化/日本は個人主義化しているのか/日米それぞれの個人主義観/ひきこもりが増えた理由/自己肯定感の低さは何をもたらすか/「場の正義」から脱出する/「裸の王様」に見る多元的無知/どのように主体性をはぐくむか/開かれた協調性を

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

1.3manen

47
これからはウェルビーイングだね。つい、給料日だから、買って読んだよ。心身、生活、関係、感情が良い状態で続く(87頁)。直島の芸術は、住民と域外の人との共同作業なんだね。こういうのが、地域のウェルビーイング。地域づくりは文化心理学からすると、ウェルビーイングなんだね。172頁に教育現場におけるウェルビーイングが出てくるよ。23年第4期教育振興基本計画で、幸福感、つながり、協働、利他、多様性、サポート、社会貢献、自己肯定、自己実現、心身健康、安全・安心環境など(181頁)。まず、職員室でのホウレンソウじゃね?2025/12/26

ニッポニア

39
幸せってなんだろう、それを紐解くために、文化心理学の解説から、幸福の国際比較、関係性の中にある意識、幸せという曖昧な概念、主観を計測する方法、そして、地域、職場、教育、今後のウェルビーングを追う。新書としてこれほど、バランスよく、気軽に読めるということが幸せよ。教養の楽しさを味わうことができる、これがウェルビーイングと言わずなんという。以下メモ。日本人の幸福度は低いのか、生きている文化・社会環境におけるウェルビーイングとは何かを問い、データを適切に解釈すべき。2026/02/04

おせきはん

33
ある瞬間の幸せではなく、幸せな状態が続くことがウェルビーイング。集団や組織の中で生活している以上、人間関係や協調性がウェルビーイングに影響することには納得感がありました。一方で、個性も尊重されるようになってきています。人間関係や協調性といった他者との関係と、自己主張とのバランスが変わるにつれて、ウェルビーイング像も変化していくのでしょう。2025/12/31

かずぼう

24
日本人を含む東アジアと欧米人の幸せの捉え方の比較、まあそうだろうなと思う。研究者が書いているので、文はちと固い、この辺で止めておこう。2026/03/05

すうさん

6
ウエルビーイングに興味をもって購入。国や地域別の幸福度ランキングは注目を集めるのだが、この基準は文化によって異なる。さらに時代によっても大きく変わる。最終章の日本人としてのウエルビーイングは西洋文化の個人主義的発想と協調や場を読む日本人の違いを文化人類学的に説明しているがさほど目新しくはない説だ。個人的に自分が楽観的に自分の幸せを感じればよいのだが、それは社会や他人との関係の比較の中で理解されるので、個人を見つめる冷静な視点や観点が必要である。私は立ち位置で己の幸せ度は常に変わるのだろうと思っている。2026/03/17

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