内容説明
礼和四年、人権ならぬ“命権”擁護の時代。人気の配信猫が、雇用しているボノボを訴えた。ボノボの弁護を引き受けたぼくには、心の奥底に秘めたる欲望が……(「動物裁判」)。例和三年、賭け麻雀が合法に。接待麻雀士の塔子は、高官との対局の大一番、思わぬ窮地に立たされて……(「接待麻雀士」)。おかしいのは法律? それとも人間? 架空の法律が制定された六つのパラレル・レイワが、現行法と現実世界にサイドキック! この世の歪みを炙り出す!! 痛烈で愉快で洗練された、仕掛けだらけのリーガルSF短編集。 (『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』改題)
目次
一.動物裁判
二.自家醸造の女
三.シレーナの大冒険
四.健康なまま死んでくれ
五.最後のYUKICHI
六.接待麻雀士
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mayu
28
6つの架空のレイワの時代の架空法律を描いた短編集。人間以外の動物に『命権』を与えて人間と平等にする『動物裁判』が印象的だった。平等になったら…そうなるよね、怖っとなる。通販会社の倉庫で働く人達の話『健康なまま死んでくれ』はもはや今の時代でも同じ事になるのではとゾッとする。現金を持つものが悪とされる法律のある世界もどこかリアル。どれも苦さが残るブラックな感じ。ディストピアな世界観も好きだから楽しめたけど、著者にそういうイメージがなかったから意外だった。さまざまな種類の架空世界が飽きさせない一冊だった。2025/11/28
seba
26
文庫改題される前の、趣を排したようなタイトルが結構気に入っていた。「レイワ」だが令和ではない六つの世界には、過剰で過激な法律が存在する。そんな世界で人は何をよすがに生きるのか。各編のオチは、至極わかりやすいか逆に難しいかの両極端。しかしそもそもオチよりも、各法がどのような社会事情を背景に制定されたか、そして急な制定がどのような反感や馴化を民にもたらしたかという余波にこそ注目すべき。我が令和で日々感じているもどかしさに似た何かがそこにある。弁護士でプロ雀士でもある作者の筆力が光る。「冷和」の話の掴みが好み。2026/04/20
よっち
26
6つのパラレル・レイワで成立した6つの架空法律と、それに振り回される人々の困惑と抵抗を描いた連作短編集。動物福祉法と裁判でボノボを弁護する弁護士、どぶろく通達で家庭の味で自家醸造をさせられる女、南極議定書と南極に住む者たち、労働者保護法で変容する労働環境、電子通貨法により現金がなくなりつつある世界、健雀法による賭け麻雀合法化と接待麻雀。法律の成立により社会が大きく変わっても、うまく適合できない不器用な人たちもいて、抗うしかない立場に追い込まれてゆく姿と皮肉にも思えるそれぞれの結末がなかなか効いていました。2025/11/24
nami1022
11
改題前のタイトルの方が好きだったけど、長いし正確に覚えてもらえなさそうだから改題して良かったのかも。法令に焦点を当てた世にも奇妙な物語でしたね。1編目はゴリラ裁判の日と被っているんじゃないかと心配しましたが、後半3編はブラックなスパイスが効いていてかなり好みでした。一番ツボだったのは、小銭を触りすぎて掌紋がなくなって滑りやすい、とかいうギャグ紛いのネタを捩じ込んできたところですね。しかもちゃんとそれを伏線として活かすオチだったのでニヤリとしてしまいました。2026/04/30
淡紅
11
礼和、麗和、冷和、隷和、零和、例和。それぞれのレイワで制定された法律は、ここ令和よりほんの少しだけ何かが行き過ぎたパラレルワールド。風刺が効いてる。「帆立、天才」。「最後のYUKICHI」は良い意味で筒井康隆を思い出させる。特に最後の1行でやられた。今朝、利上げのニュースで映った建物を見て家族と笑った。なんて素敵な本。酒造りも、麻雀接待士も、根が真面目で人付き合いに不器用な女。自分との共通点はそんなざっくりしたことなのに、何かを言い当てられたような、そわそわ落ち着かなくさせる。こういう本は私に危険。逃げろ2025/12/19




