内容説明
中国の近代史を、日本からの広範な影響抜きに語ることは考えられない。辛亥革命の主人公たちはほぼ全員、日本滞在経験があり、革命団体も東京で結成されている。しかし、こうした史実は、共産党による自国中心のプロパガンダによって上書きされてしまっている。対中外交に職業人生を捧げてきた前中国大使と安倍官邸外交のキーマンが、実務家の立場から日中の歴史を再検討し、「ほんとうの中国」の姿を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
to boy
21
近代以降の日中関係の歴史をテーマに語られた座談会。清朝末期から文革までは混沌とした歴史で分かりにくい。国民党、共産党だけでなく地方の軍閥やら南下を狙うソ連、暴走した関東軍、英国や米国の思惑などまさに魑魅魍魎とした世界。そして現代の尖閣問題、台湾問題など多肢にわたる話題で面白い。垂氏がいつも言っているように、日本には長期的視野を持った戦略的思考が欠けているという指摘はもっと真摯に受け止めるべきだと思う。戦後、米国に「沖縄をどうするか」と問われた蒋介石は「沖縄はいらない」と答えた話には驚き。2026/04/10
bapaksejahtera
18
チャイナスクール出自であり、中国勤務の間には外務省の情報部局に身をおいた垂氏が語りの中心で、同じく外務省出で内閣に身をおいた兼原氏が話を引き出す対談形式の本。中国近代における日本との交流や対立、様々な戦争の、それが現代に繋がる様を、対談形式で振り返る。更に台湾と香港の歴史にも焦点を当てる。私は青年期に文革があり、毎夜のように日本語北京放送を聴いていた。その後も兌換券時代に中国に行き、我が国で中国の考察団も相手にしてきたので、本書の内容はよく理解できるし、妥当と思う。見落とした視点や知識を補う良書であった。2026/09/13
XX
10
「日本と中国の歴史を、相互影響を与え合った一体のものとして見る」という立脚点で行われた対談。主に辛亥革命から現在まで。両氏とも安全保障の意識も高いが偏向なくフラットに分析されていて大変勉強になった。強調されていたのは日本外交には戦略的思考が足りないということ。真面目に表の政府のみと関係を持つだけでは駄目で長期的視野を持つべき(日本の支援を外れた孫文のコミンテルン接近や中国へのODA失敗例)。習近平は文化大革命の遺物という評価には納得。しかし愚民政策が成功して貧しい農村部の支持はあるそうだ。2026/07/09
キートン
5
日本のお隣さんで、弥生時代から色々と関係の強い国・中国。そんな中国と日本の幕末から現代までの関係を中国に詳しい2人が対談という形で語った1冊。 中国の歴史はあまり詳しくなく、聞きなれない中国の人の名前も出てくるが、著者のお二方の知識量と相手を立てる感じの対談のおかげで非常に読みやすくて勉強になる。 以下読んでいて思ったことを長々と記入。2026/06/13
guanben
5
9世紀から現代にかけての日中関係がコンパクトに解説されていて復習には最適。日本が中国に与えたプラスの影響も指摘されており、そこが日本=悪の図式を描きたい中共にとっては触れられたくない部分なわけだ。面白いのは巻末の台湾・香港に言及している部分。両者に対する中国側のアプローチや、台湾・香港が抱える内在的問題を紹介。なかなか厳しい。また、李登輝は台湾では毀誉褒貶激しい政治家である、香港の民主的な統治なんてイギリス統治時代から怪しかったという指摘は興味深かった。2026/05/22




