内容説明
全米図書賞最終候補作にして、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー。『すべての見えない光』のピュリッツァー賞作家が、本と物語、そして図書館を愛するすべての読者に贈る最新長篇。
紀元一世紀に書かれたギリシャの散文物語『天空の都の物語』。そこには、ある羊飼いが空にある理想都市に旅をするも、やがて地球に帰還するというストーリーが描かれていた。『天空の都の物語』は訳され、欠けた部分を補われながら、時代と場所を越えて人々をつなぎ、彼らの心の灯となっていく。
15世紀、陥落を前にしたコンスタンティノープルで生きる少女。現代アイダホの図書館で、テロに巻き込まれる老人。未来で、人類が生存可能な新たな惑星を探す宇宙船に乗る少女──
危機が迫る中、『天空の都の物語』が彼らに伝えた「語り継ぐ意味」とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
87
現代のアメリカ、15世紀のコンスタンティノープル、未来の宇宙船―五人の物語が少しずつ語られ、最初はどこに連れていかれるのか分からず戸惑ったが、繋がりが見えるにつれ引き込まれて読んだ。全編を貫く【本、物語、図書館】【故郷、旅】のテーマがシーモアが苦しむ環境破壊と近未来の宇宙船AI(シビュラ)の欺瞞と真っ向から対峙する。『シェル・コレクター』の詩的なイメージは影を潜めているが、ディオゲネスの物語がネット空間を避けながら(バチカンは例外かな)繋がっていく箇所はいずれもとてもスリリングでそしてとても美しかった。2026/02/26
ヘラジカ
58
一冊の書物を巡り、時空を超えて紡がれる圧巻の大作。読んでいて思い浮かんだのはグリーンブラットの名著『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』だったが、実際に作者も影響を受けているようだ。5人の登場人物がそれぞれ異なった時間軸で描かれているため、物語の進行は300頁ほどまでは非常に遅い。しかし、折り返しを過ぎた辺りからは巻を措く能わず。次第に収束していく5人の運命を見守るうちに、作者が籠めた書籍(読書)への強い「希望」や「愛情」がじわじわと自らの内にも湧いてきて、ラストは万感胸に迫る思いであった。傑作。2025/12/21
Hiro
45
15世紀から遠い未来までを舞台にした3つの物語が、古代ギリシャの散文物語『天空の都の物語』によってつながっていく。文章自体は平易で読みやすいものの、時系列が前後する構成のため、途中で少し戸惑う場面もあった。物語の半ばを過ぎてからようやく世界観に引き込まれ、読み終えたときには、久しぶりに壮大な物語をじっくり味わえたと感じた。2026/01/21
ぽてち
30
15世紀のコンスタンティノープル、現代のアメリカ(朝鮮戦争時の北朝鮮を含む)、未来の宇宙船アルゴス(惑星移住中)と、時代も場所も異なる物語が縦横無尽に描かれる。それを繋ぐのがアントニウス・ディオゲネスが書いたとされる『天空の都の物語』だ。各時代の登場人物たちは様々な形でこの物語に触れ、重要な役割を担う。そして図書館! 無料の貸本屋的なそれではなく、司書が本来の仕事をする姿だ。本文735ページの大作で、最初のうちはわけがわからず戸惑うが、物語に身を委ねていれば大丈夫。素晴らしい読書体験だった。2026/01/10
かもめ通信
23
『すべての見えない光』でピュリッツァー賞を受賞したアンソニー・ドーアの7年ぶりの長篇。前作に続き今回も訳者は藤井光氏。コンスタンティノープルの陥落を扱った歴史小説でもあり、現代社会の抱える問題を扱ったリアリズム小説でもあり、SF小説でもあって、物語とそれを語り継ぐ人々の情熱を歌い上げもするというなんとも欲張りな物語。本好きが好むキーワードを多分に含み、読みづらさも含めて海外文学好きの心をがっちりつかむ作品であることは間違いない。欲を言えば、少しばかり優等生過ぎるという気がしないでもないけれど……ね。2026/03/09
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