内容説明
全米図書賞最終候補作にして、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー。『すべての見えない光』のピュリッツァー賞作家が、本と物語、そして図書館を愛するすべての読者に贈る最新長篇。
紀元一世紀に書かれたギリシャの散文物語『天空の都の物語』。そこには、ある羊飼いが空にある理想都市に旅をするも、やがて地球に帰還するというストーリーが描かれていた。『天空の都の物語』は訳され、欠けた部分を補われながら、時代と場所を越えて人々をつなぎ、彼らの心の灯となっていく。
15世紀、陥落を前にしたコンスタンティノープルで生きる少女。現代アイダホの図書館で、テロに巻き込まれる老人。未来で、人類が生存可能な新たな惑星を探す宇宙船に乗る少女──
危機が迫る中、『天空の都の物語』が彼らに伝えた「語り継ぐ意味」とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
53
一冊の書物を巡り、時空を超えて紡がれる圧巻の大作。読んでいて思い浮かんだのはグリーンブラットの名著『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』だったが、実際に作者も影響を受けているようだ。5人の登場人物がそれぞれ異なった時間軸で描かれているため、物語の進行は300頁ほどまでは非常に遅い。しかし、折り返しを過ぎた辺りからは巻を措く能わず。次第に収束していく5人の運命を見守るうちに、作者が籠めた書籍(読書)への強い「希望」や「愛情」がじわじわと自らの内にも湧いてきて、ラストは万感胸に迫る思いであった。傑作。2025/12/21
おだまん
10
「すべての見えない光」を踏襲した形式で、1つの書物を軸として、時代も場所も違う登場人物たちの群像劇が組み合わさって、大きなうねりを生じていく邂逅の物語。スケールの大きさと、そこにいる市井のひとたちの小さな営みの中に雲の隙間から漏れてくる一筋の光を感じました。ページをめくる手が加速度的になっていくのを抑えて大切に読みました。本を伝えていくという意味とリスペクト。それにしてもドーアさん、フクロウ大好きですね(^^)2026/01/03
rinakko
7
素晴らしかった。「天空の都の物語(Cloud Cuckoo Land)」という架空のギリシャ小説を軸に、過去・現在・未来の物語が綾に結ぼれていく。それは『オデュッセイア』のように、“地の果てまで行って帰ってくる” それぞれの長い旅。どんなに過酷な境遇にあろうと、かそけし光となって心に灯る物語は誰にも奪えない。と、物語への賛美が全篇の底流をなす。ビザンツ帝国の少女アンナや、〈アルゴス号〉の少女コンスタンスのパートが好きだった。“ばかな人のなにが美しいかって、いつあきらめるべきかまったくわかってないところ” 2025/12/25
石
4
700ページ超えだが、体感的には半分くらいに感じた 物語の持つ不思議な力が、戦乱、貧困、病魔にあえぐ人々にかすかな生きる希望を与える 15世紀のパートは前作「すべての見えない光」を思い出す素晴らしさ2025/12/25
biensur
0
読み終えるのがもったいないくらいだった。物語に入りこめてよい冬休みの読書体験になった。とても読みやすい。 生きている時代と場所が異なる3人の主人公のうち、現在を生きるシーモアという主人公には違和感を感じ続けたが終盤に大事な主人公だと感じるようになった。 読むということを大切に取り扱った描写もとても好きだ。2026/01/08




