内容説明
日本文学の冒険はじまる。
男たちの眼前で、トウシューズが煮えていく。靴の主は、マリー・タリオーニ。
十九世紀を代表する、ヨーロッパの名ダンサーである。
その伝説の靴を、愛好家たちは競り落とし――食べようとしていた。
えっ、本当に食べるの? 鍋をのぞき込みながら、牽制し合う男たち。
ぐつぐつ、ぐつぐつ。
気づくと中には、ピョートル一世、井上保三郎、高崎の観音像、そして令和の大学生まで。洋の東西、過去現在を超えた食材が投げ込まれていた――。
異能の作家が、世界文学の門をくぐり、供した一皿。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
150
坂崎 かおる、2作目です。本書は、正にロシア風闇鍋的カオスな怪作でした。何が入っているのか判らない怖さとワクワク感に満ち溢れています。次回の芥川賞候補にノミネートされるかも知れません。 https://www.shogakukan.co.jp/books/093867752026/01/23
rosetta
26
★★★★☆『箱庭クロニクル』にも「名前をつけてやる」みたいな話があったけど、これはそれをもっと追い詰めた徹底的にアバンギャルドな小説。作者が頻々と顔を出し躁状態の饒舌文。サンクトペテルブルクで憧れのプリマドンナのトゥシューズを鍋にする3人のむくつけき男共の様子から始まるが、時空を超えロシアの都と高崎と都内の三流大学と、英雄とマドンナと野郎どもとの、奥泉光や深水黎一郎を思わせるような空想の翼を広げまくった綾錦。荒木飛呂彦を思わせるような表紙も好き。未読の『嘘つき姫』もぜひ読まなくちゃ2026/02/16
信兵衛
20
様々な物語要素、パーツの、まさにごった煮、というべき作品。 これも小説だといえばそのとおりですが、混乱から抜け出せないまま読み終わった、という読後感です。2026/01/23
練りようかん
17
寺田克也氏の装画がかっこいい。19世紀のロシア人が鍋を囲む。しかも彼らはバレエ愛好家だ。どこから箸をつければと戸惑う書き出しで、貧困なおつむのあなたが読むことが前提の、しばしば罵るような言葉が挟まれパンチのある書だなと思いながらぐるぐるまわる世界に引き込まれた。ロシアと軍事都市になる運命だった高崎、しがない大学の新興劇団と関東の名士・井上保三郎のエピソードの反復が、火の中の“もう踊らされるのは嫌だ”で収束した時胸を突かれた。頭に浮かんだのは反戦。初出は悪がテーマのGOATであなたの想定にドンと落ちた。2026/01/17
nukowan
11
図書館の新刊コーナーで目を引いたので手に取った本でした。鍋を囲む三人の話がなんだかおもしろそうだったのです。はたして、物語の内容はダルマとコウモリとタニオーニ、バレエ、ロシア、ボカシ、井上保三郎をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせた闇鍋みたいなお話でした。内容はまったく興味がないのに読まさせられた感がある一冊でした。なんだこれ。2026/01/12
-
- 電子書籍
- スポニチ秘蔵アイドル全集 小泉今日子




