内容説明
72歳になった著者が他人事ではなく、鶴見俊輔『もうろく帖』の「老い」をじっくり考えぬく。家族にとっての老いは不朽の名作『恍惚の人』、谷川俊太郎の棺のそばで思ったこと、3歳下の実弟の死から身近な血縁、ひとりで死ぬことを思う。注目の思索エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
105
鶴見俊輔/吉本隆明/有吉佐和子/耕治人/谷川俊太郎さんなどの著作や人生を読み解きながら、「老い」について考えるとても味わい深いエッセイ。死を意識して老いと向き合う個の問題だけでなく、老いによって生じる家族の問題などを身につまされる思いで読む。「これまでもずっと考えてきた。でもそれは「生きるため」のものだった。功利的なものだった。でも最後だけは違う。ぼくたちが本当に何かを「考える」ことのできる時期、それが「老い」なのだ」と著者は言う。避けず、恐れず、穏やかに「もうろく」する鶴見さんの境地にも深く共感。2026/01/23
アキ
89
高橋源一郎72歳。老いというものが自分事になってきた。老いについて書かれた著作から、考察してみたエッセイ風の新書。一冊目は鶴見俊輔の「もうろく帖」93歳で亡くなるまでノートを認めた。短い文章への著者の解釈をつらつら述べている。二冊目は「隆明だもの」吉本隆明の最期を看取った娘の視点。既読だったので、他者から見た老いについての著者の考えは、共感しながら読むことができた。三冊目は「恍惚の人」。四冊目は耕治人の私小説「そうかもしれない」。当事者から見た夫婦の最期。これが最も衝撃的であった。いつか読みたいと思った。2026/01/09
佐島楓
57
源一郎先生の最近のスタイルとして、文献の引用が多いという特徴があるが、テクストはあくまで手がかりにすぎず、どうしても誤読してしまう要素が入ってしまうので、かえって難しくなる部分があるなあと思っていた。それでも選書の的確さと先生の考察ににじむ人間味にだんだんと引き込まれ、気がついたら泣いていた。書くこと、考えること、生きることはわたしにとっても一体だし、知的能力を喪失していくことは恐怖にほかならない。人間って、人生って何なのだろう。切なすぎる。 2025/12/15
しゃが
38
谷川俊太郎の棺のそばで思ったことが気になって手に取った。紹介されっている本は読んだことがあった。一番、考えさせられたのが3歳下の実弟の死から身近な血縁、ひとりで死ぬことを思うこと。しゃが家も私で消えることになる、墓仕舞い、エンディングノート、残すは私の「死」。家族や社会にとり、死は細部かもしれないが、私には死そのものがあるだけ。じゃが家が消えることが目の前に近づいたが、なんだか肩の荷が下りる気がした。お骨上げもいらないとエンディングノートに加えようと。2026/02/06
kawa
34
鶴見俊輔、吉本隆明、有吉佐和子、耕治人各氏の著作と源一郎氏の考察と経験を交えた「老い」と「死」の心構えレッスン。一読では消化出来ない深さなのだけれど、後ろ向きばかりに捉えるのではない微かな灯りが感じられる出会えて良かった一冊。残りの短さをそろそろ意識している自分にとって、直ぐに手に取れるところに置きたい好著になるかも。2026/01/20
-
- 電子書籍
- 茶葉少女~蟲に食べられそうになったら、…
-
- DVD
- 人間の証明 VOL.2




