内容説明
義務教育の中でなぜ音楽を学ぶのか。教師自身が自分の言葉で「音楽科教育の存在意義」について論じることができなければならない。何を目標に音楽科教育をするのか。「良い音楽科教育」とは一体何か。音楽科教育の目的論について、真剣に議論した一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
曽我芳次
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クリティカル・ペダゴジーの思想を出発点に、音楽科教育の再構築の試案を出す本なのだが、本のタイトルに見合った内容とは思えない。「なぜ存在しなければならないのか」というのは、不要論への反駁でこそ発揮され得る。現行の音楽科教育の目的論が未だ西洋かぶれであることは承知しているが、それの何が悪いかが明らかでない。イデオロギーの偏りの自覚は、イデオロギー自体の深い理解に裏打ちされねばなるまい。非他律的であることは、他律を極めた先になければ、あれもこれも「良い」と言っておけばいいだけになってしまう。2025/05/20
斜めに構えた太鼓持ち
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筆者のワークショップにケチをつける人のための理論武装という印象。「真剣に議論した」ではなく、我田引水をがんばった一冊。非他律的な態度を養い相互承認を重視するのが新しい音楽科教育だといいなって話なんだけど、これって人にあれこれ言われるのが嫌いな人たちが傷をなめ合いつつ、相互承認は仲間内だけで消費し、自分の気に入らない意見を「それってあなたの感想ですよね。ご自分の意見を相対化できてます?」等と言って黙らせるような、めんどくさい人間を量産するだけなんじゃない?2024/08/17
サンチェス伊藤
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価値観は人それぞれで、自分の価値観をヨソ者に押し付けられてたまるかというのは分かる。自分に肌の合う価値観の持ち主はカモーンだし、合わない奴はノーサンキューか敵として相互に承認する。違いを確認すればこそ、合わない奴を消したくなるんだろう。非他律的態度は、お偉いさんの押し付けることを絶対視して犬になるのではなく、自分を貫くということだと理解する。メタ音楽による集団即興は、音楽を使った、ゼロベースのサドンデスなのだ。良い音楽科教育は、混沌の中を生きる力をつけてくれる。誰にも影響されない非他律でありたい。2025/09/26
じゅんじゅん
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この本の目的は「音楽科教育が全ての子どもにとって必要であること」を論じること。そのためにスモール、エリオットなどの思想を援用しながら、最後に筆者の考えを主張しています。実際に、公教育の場で筆者の主張を実現できるような「集団即興演奏」の提案も本書の中で行っています。音楽教育に携わっている人でこの「音楽科教育が全ての子どもにとって必要であること」を真正面から答えを探そうとした人はそうはいないのではないでしょうか。まず、その点に敬意を表したいです。そして、「音楽科教育が全ての子どもにとって必要であること」の2024/09/15
車寅次郎
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順序立てた説明が分かりやすく、著者の考えは一定理解でき概ね賛同しました。ただ少し気になったことを挙げるとすれば、西洋音楽をそのまま踏襲すること、すなわち文化の継承に観点を置く教育に疑問符をつけた時、日本に暮らす日本人の子供達に日本の音楽文化は素晴らしい!と言う文脈で継承させることも同じく疑問符をつけるべきなのでしょうか?著者の考えたメタ音楽を公教育で用いた場合、評価の基準を如何にするか?全てが素晴らしいは素晴らしいけれど、公教育で全部が100点です!は成立するのかな?読みながら深く考えさせてもらえました。2024/09/06




