禁書目録の歴史:カトリック教会四百年の闘い

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禁書目録の歴史:カトリック教会四百年の闘い

  • 著者名:ロビン・ヴォウズ【著】/標珠実【訳】
  • 価格 ¥3,564(本体¥3,240)
  • 白水社(2025/12発売)
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  • ISBN:9784560091135

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内容説明

知識への迫害か、「フェイクニュース」の抑制か

本書は、悪名高いカトリックの「禁書目録」の歴史を総合的に扱った初めての書籍である。
禁書目録は16世紀の成立から400年にわたる、検閲の歴史上おそらく最も長い歴史を持つ。プロテスタントの著述家の脅威に対し各地で作られた禁書リストに始まり、バチカンに目録省が設立され、恒常的な検閲組織となった。「アートとゴミ」を区別し、「ジャンク」サイエンスやペテン師を暴き、「フェイクニュース」を抑制することを目的としたこの制度は、カトリック諸国の文化的、科学的、思想的発展を阻害したとされ、プロテスタントによる攻撃や侮蔑の対象ともなった。しかし一方で、作成に携わった多くの聖職者、当時の一流の神学者の深い学識と真摯な気持ちを反映したものであったのも事実である。
結果的にこの教会の試みは失敗したが、検閲の背景を検証し、失敗した理由を学ぶことは、近現代の国家による禁書や思想・文化統制について考える上でも、インターネット社会における表現の自由について考える上でも有意義である。「禁書目録」は決して過去の遺物ではなく、現代の私たちに警告と深い示唆を与えてくれることを、本書は伝えている。

[目次]
 はじめに
 
第一部
 第1章 禁書目録以前の検閲
 第2章 禁書目録の誕生
 第3章 禁書目録の発展
 第4章 書籍の検閲方法
第二部
 第5章 聖書を検閲する
 第6章 魔術と科学を検閲する
 第7章 性、信仰、芸術を検閲する
 第8章 検閲と近代化
 終わりに
  謝辞
  訳者あとがき
 
  参考資料と略称/原注/文献ガイド/写真提供への謝辞および出典

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

100
神学教義の標準化に向けて、あの悪名高い「禁書目録」を作成し続けたカトリック教会の歴史が詳細に描かれる。検閲の対象は、聖書の解釈などの教義に始まり、後には、科学、文学、芸術にまで拡大し、それらを掲載してゆく膨大な作業は、正に、シーシュポスの岩である。社会に情報が氾濫する今日だが、一定の監視機能が必要であることを口実として、権威主義的な検閲が導入されることの不条理を実感する物語であった。「禁書目録」というネガティブ・リストではなく、「推奨図書目録」というポジティブ・リストをみんなで共有する社会でありたい。2025/06/10

なおた

5
恥ずかしながら本書に出会うまで「禁書目録」なるものが中世ヨーロッパ全域に、それぞれの「お国事情」を加味しながら存在していたことを存じ上げませんでした。そういった意味で「目からウロコ」の1冊でした。今日でも、カトリックの司祭などが、信徒の集まりなどで「~という本は、我々は読む必要はありません」と釘を刺したりするのは、その「名残り」でありましょうか…とても興味深く拝読させて頂きました。2025/05/15

JF1RLN

3
素晴らしい。この分野に疎かったこともあって大変興味深く読み終えました。キリスト教史的なところもあり勉強になったのと、この著者さんの知識の深さには感服するしかないです。あと、訳者さんのあとがきも大変良かったです。ただ、最後の方で「日本のアニメに『とある魔術の禁書目録』ってあるけどそれで禁書って目にするかも」っていきなり出てきたのちょっと意外でした。こんな固い本なのに。2024/12/21

takao

2
ふむ2025/04/26

moggadeet

2
あとがきによれば「「禁書目録」そのものに焦点をあて、その歴史を包括的に扱った初の概説書」とのこと。禁書目録の起源と教皇庁が主体的に関わって編集を始めるその変遷、異端審問制度との関係、目録をめぐるカトリック内での権力闘争、もちろんプロテスタントとの対立、神学以外の分野における禁書(禁令)、禁書目録制度の終焉とその後の教会による検閲など、2024/10/23

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