内容説明
店主の円が世界各国で出会ったスイーツやドリンクを再現して振る舞う「カフェ・ルーズ」。遠いどこかで愛されるメニューを口にすれば、たちまち旅に出た気分になれる。そこは平凡な毎日を送る会社員の瑛子にとってかけがえのない居場所になっていた。だが、新型コロナの蔓延で一変、店は苦境に立たされることに。それでも負けじと営業を続けるカフェに集う客たちもまた、やり場のない思いを抱えていて……。ひとときの口福がほろ苦い謎を解きほぐす連作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
166
日本は広い。世界は、もっと広く大海原のよう。世界を見渡してみれば、まだまだ知らないスイーツやドリンクがあるわけで、この物語を読むと、ちょっとだけ海外旅行に行った気分になる。コロナ禍の中で苦境に立たされても、“カフェ・ルーズ”の店主の円は、苦境を苦境ともせず、むしろ楽しんでるようで、この人はなんて強い人だと思う。こんな店主なら、瑛子でなくても行きたくなるよ。それにしても世の中には、ろくでもない奴がいるもので、そんなろくでもない奴にも屈しないから、円は本当に強い人だ。148ページの円の冒頭の言葉が励みになる。2026/02/10
venturingbeyond
65
シリーズ2冊目は、コロナ禍の中で奮闘するカフェ・ルーズ店主の円さんと瑛子さんの交流が描かれる。かつての自身の言動を後悔・反省し、若干の引け目を感じている瑛子さんだが、円さんは、学び自らを更新する瑛子さんの誠実なあり方を信頼し、店主と常連客の関係を超えた関係が確立されていることが、ストーリーの端々から浮かび上がる。個々のエピソードでは、歪な差別構造に搦め捕られる人物が登場し、その醜悪さや生き辛さが顕になり、これと対峙する2人の差別者や抑圧的な構造を毅然と拒絶する姿勢が対照的に描かれる。好著です。2026/02/01
みんとあめ
43
店主の円が世界各国で出会ったスイーツやドリンクを再現して振る舞う「カフェ・ルーズ」。前作を読んで2年半たつが、カフェ・ルーズは変わらず素敵な場所だった。新型コロナで一変した時を思い出し、考え方が変わった部分もあれば、昔から根付いている厄介な価値感がなかなか面倒なんだよなと思いながら読んだ。いろんなシチュエーションにドキっとして、円や瑛子の言葉がじんわりと染み込んでくる。旅に出たくなる。それも一人がいい。年を重ねるごとに心は柔軟でありたいし、思いたったらすぐ行動する一年にしたい。2026/01/04
piro
40
シリーズ第2作文庫化、待ち望んでました!そして期待を裏切らない美味しそうなメニューとコージーミステリーでした。今回はコロナ禍のお話。不安を抱えつつ生活する瑛子の様子に、あの頃の記憶が呼び覚まされる。そんな中、暫く休業していた円の店「カフェ・ルーズ」が再開。魅力的なメニューに救われた気分になりました。世界各地で愛されるスイーツや料理の数々。どれも食べに行きたくなるものばかり。近所にこんな店があったらいいな。終盤の事件は、ちょっと後味が悪かったけれど、円のしなやかな強さに安堵。更なる続編希望です。2025/12/15
ゆいきち
30
前作を読んでから随分と時間が経っていたので、登場人物たちの関係性を思い出そうとしていたら第1章が終わってた。でも第2章からは「あぁこれこれ〜」と。聞いたことのない世界の食べ物が登場するたびにスマホで画像検索して、新しい発見を得る。しかもその食べ物にまつわる豆知識まで解説してくれるから、読みながら世界一周している気分に。あと、この「カフェ・ルーズ」は完全に瑛子の「サードプレイス」になっているんだろうな。でもそんな平和な空間にも何やら不穏な影が…。続編ありそうな予感しかしないけど大丈夫よね?2026/04/05




