内容説明
「日本にイスラム革命のような復古運動が起こった」「女官に囲まれ化粧をしていた天皇が突然、軍服姿に変身」「自分の命を国家に捧げる日本人はまるで古代のスパルタの民のようだった」……神風連ら士族反乱から日露戦争勝利・大アジア主義まで、一等国への道をひた走った「若き日本」の軌跡を辿る「幻の連続講義」第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
66
著者が故郷の寺で1980年代初頭に友人や若い人の前で話した内容を書籍化。我が家は両親熊本出身なので、時折混じる熊本弁が懐かしかった。6つのテーマはどれも面白いのだが、やはり神風連の乱という地元の出来事についての、人物群像を含む話がとても興味深かった。また、大アジア主義や頭山満といった群像・人物評にこの著者の魅力を感じる。天皇制についてはほぼ首肯できる内容で、このくらいの「常識」的感覚を政治家や有権者が共有していれば、大きなゆがみは来ないだろう。冒頭の明治維新に関する史的唯物論批判が時代を感じさせた。2026/02/08
おたま
54
最近、日本の現代の様々な出来事の根にあるのが、明治時代に確立されたことではないかと思っている。明治時代の全体を包括的に取り上げた本を探していた時に、図書館で見つけたのがこの本。渡辺京二は『逝きし世の面影』以来、幕末・明治史についての著書を少し読んできており、その透徹した視点に教えられることが多かった。この本は、そんな渡辺京二が、1980年代の初め頃に、郷土の熊本市・真宗寺で行った幕末・明治史の講義の記録集の第二集(第一集は『私の幕末維新史』)。広範な事柄を、渡辺氏独自の視点で捉えていて、学ぶことは多い。2026/05/30
パトラッシュ
47
技術発展や社会の変化についていけない民衆は、英国のラッダイト運動や現在の反AIポピュリズムのような反対行動に走る。世界は弱肉強食の帝国主義時代と認識した指導層により、急速な西洋化が進められた明治初期も同様だと著者は言いたいらしい。地租改正に対する農民の抵抗や士族のプライドに執着した神風連は典型だが、明治政府は「一等国日本」との目標を掲げて愛国心の定着を図った。天皇制確立や日露戦争勝利で一応は成功したが、夢と神話を本気で信じた国民は「侵略による世界に冠たる日本」を唱える大アジア主義を容認してしまったのだと。2026/06/12
tharaud
11
講義録『私の幕末維新史』の続編。他の著作に書かれている話も多いが、語りの魅力が感じられる。頭山満についての章の中で、明治時代の人間類型としての「浪人」について語られている。在野で、貧乏で、天下国家に対して強い思いをもち、しかし報われず、実はそういう自分に自己憐憫をもっている。こうした人間類型は、今はもう存在しないかもしれないが、見えないところで一種の憧れとして語り継がれているように思う。2026/04/18
spike
5
渡辺京二の幻の連続講義録第二弾。1980年代のものなので、その後明治大正についてはさまざまな論考がされていると思うけれど、そういったものに全く負けてないし、「坂の上の雲」的な捉え方(個人的にはこれも決して嫌いではないし、著者も全否定してるわけではない)に全く引けを取らない。「大アジア主義」「日露戦争」のくだりが最も秀逸。2026/04/19




