内容説明
「キングがホラーの達人なら、リゴッティはホラーの化身だ。」(ニューヨーク・タイムズ)――祈りなのか、呪いなのか。アメリカのカルト作家による救済なき傑作群が、本邦初単行本化。
「そう、この世界の人々が、神ならぬ新たな神の存在に勘づいていることを漏らしてしまったのは、せいぜい一世紀前のことだった。」
H・P・ラヴクラフトやフィリップ・K・ディックと並び称され、ブラム・ストーカー賞を4度受賞した、文学史上最も危険な作家が、ついに上陸!
【目次】
戯れ (若島正 訳)
アリスの最後の冒険 (白石朗 訳)
ヴァステイリアン (若島正 訳)
道化師の最後の祭り (宮脇孝雄 訳)
ネセスキュリアル (若島正 訳)
魔力 (若島正 訳)
世界の底に潜む影 (若島正 訳)
ツァラル (若島正 訳)
赤塔 (若島正 訳)
編者あとがき 若島正
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
53
まさに醒めない悪夢と言ってもいいような物語を集めた短編集。死期が近づいてきた童話作家、アリス(但し、内容は不条理且つ不気味なものらしい)の最後の一日を描いた「アリスの最後の冒険」。題名だけ見ると「不思議の国のアリス」シリーズと誤認されてもおかしくないぞ。内容は徐々に支離滅裂になっていく思考の末に現れた彼女が恐れる本当のモノとそれに対する叫びに身震いします。惜しいのは元々は45篇の短編集だったのを9篇に絞って翻訳したとの事。何、そのアルバムの曲の切り売りみたいな現象。分厚くになっても他の作品も読みたいんよ!2026/05/16
あたびー
40
著者初読み、と思ったらアンソロに収録作あった。複雑で副詞や「〜のような」が多用される文章を追うのが大変だった。文章の最初で想起するのとは違った着地点に到着するような表現が多かったように思う。不気味な囚人の魔の手が愛嬢に伸びる「戯れ」や小さな街の祭りでラヴクラフト的な集会に紛れ込む「道化師の最後の祭り」などは分かりやすかったが、滲み出る闇の侵食を描いた作品群は魅力的だが難解だった。難解な一方「赤塔」が生産するものの描写が楽しかった。2026/01/15
garth
16
情景の描写が素晴らしく、たとえば「道化師の最後の踊り」のミロコーの街の悪夢的描写、なにひとつ具体的なことを書かないでおぞましい人物を造形するあたりの上手さ。それは下手だ下手だと言われがちなラヴクラフトの文章が実は素晴らしく巧みだということの証明でもある。この先に中原昌也があるわけで、中原とラブクラフトをつなぐミッシング・リンクと考えればいいのかな。2026/01/14
りろ.
15
図書館本:めちゃくちゃ好み。なかなか脳内映像処理ができず2~3ページ読んではまた戻って読み直すということをしながらも、現実でない現実、暗黒、ねっとりと絡みつくような感覚で楽しめた。自薦短編集の四十五編からの九編ということらしいので、他のものも読みたいです。図書館で借りたけれど、これはいつでも読めるように手許に置いておきたいな。それにしても、カルト的人気があるという著者トマス・リゴッティさん、この方は本当に書かれていることを体験しているのでは?と思ってしまった。2026/06/09
ハルト
13
読了:◎ とても好みの一冊だった。とにかく描写がいい。こういう世界観を沸き立たせてくれる文章はすごく好き。カルト的人気があるというのもよくわかる。前半のラヴクラフト的なものを彷彿とさせる作品もよかったけど、そこから脱却し、独自路線でまさに虚像を魅せてくれるような中盤からの作品が好きだった。ブラックウッドも思い浮かんだかな。確かにどれも悪夢みたいで、ホラーと幻想文学のまぐわいの子のような作品たちだった。まだまだ未翻訳の作品が残っているようで、ぜひともこれからも紹介して欲しい作家だった。2026/03/30




