内容説明
半歩先のリアルを描くリーガル・サスペンス!
東京地方裁判所の新人裁判官・高遠寺円は、日々の業務に忙殺されていた。公判、証人尋問、証拠や鑑定書の読み込み、判例の抽出、判決文作成と徹夜が続く。
東京高裁総括判事・寺脇に呼び出された円は、中国から提供された「AI裁判官」の検証を命じられる。〈法神2〉と名付けられたそれに過去の裁判記録を入力すると、裁判官の思考を〈再現〉し、出力するというのだ。果たして〈法神〉が一瞬で作成した判決文は、裁判官が徹夜し苦労して書き上げたものと遜色なく、判決も全く同じものだった。業務の目覚ましい効率化は、全国の裁判官の福音となる。しかし円は〈法神〉の導入に懐疑的だ。周囲が絶賛すればするほどAI裁判官に対する警戒心が増していく。
ある日、円は18歳少年が父親を刺殺した事件を担当する。年齢、犯行様態から判断の難しい裁判が予想された。裁判長の檜葉は公判前に〈法神〉にシミュレートさせるという。出力された判決は――「死刑」。ついに、その審理が開かれる。
罪は、数値化できるのか。裁判官の英知と経験はデータ化できるのか。目前に迫るあり得る未来に、人間としての倫理と本質を問うリーガル・サスペンス。
※この作品は過去に単行本として配信されていた『有罪、とAIは告げた』 の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼっちゃん
53
中国から提供されたAI裁判官は、これまで自分が行ってきた裁判記録を入力すると裁判官の思考を判断し判決文を出してくれる優れた性能。そんな時18歳の少年が父親殺害事件が発生し、AIの判断は「死刑」だったが。。帯にもあるが、AIにできなくて人間にできる仕事は、まさに責任をとることだ。のように裁判官は判決を出した後のこれで良かったのか自問自答して、悩むことを逃げてはいけない仕事なのだと感じた。2025/12/11
アルピニア
45
外務省主導による中国との技術交流で、AI裁判官「法神」が試験的に導入される。法神には日本の「憲法」「六法」全文が読み込まれており、裁判記録のデータを入力すれば、判決文を作成してくれる。多くの案件を抱え、過酷な労働で疲弊している裁判官たちは法神の優秀さに驚愕し、活用し始めるが・・。法神は人に匹敵、あるいは人を越えるのか。尊属殺人の裁判を絡めて描かれた結末は、そもそもそこか。と感じる内容だったが、様々な分野でAI導入が進んでいる昨今、いずれ取りざたされるに違いない問題だろう。五章の崎山の言葉が心に沁みた。2026/01/23
やな
38
本年1冊目、どんでん返し楽しみました。AIは、いくら優秀でも責任取れませんからね。2026/01/04
mayu
26
日中両国間における技術交流で日本の東京高裁に貸し出された『AI裁判官』の"法神"は裁判官のデータと過去の記録を読み込むと判決までを出力する。その判決が裁判官の出すものと同じだとしたら…。人は便利で有能な物を手にしてしまったら、どうしても頼りたくなってしまうもの。だけど心や同情や共感という感情を持たないAIが心を持つ人間を裁くというのはするべきではないと感じた。AIが多様に使われている現在、ちゃんと頭で考えて共存していかなければなと。「裁判官は悩む事から逃げてはいけない」という言葉が印象的だった。2025/12/12
ぴ〜る
20
とても考えさせられた。便利、効率がいい、人の負担が減る…確かにいいのかもしれない、ただ慣れていないからだけなのかもしれない。うまく言えないけれど、特に人間の命に左右するような場面なら尚更だと思うし、普段の日常においてもやはり人が人の感情を持って動いて欲しいと願ってしまう。AIには決して久志の心のうちを理解する事は不可能だと思う。2025/12/26




