岩波新書<br> シオニズム - イスラエルと現代世界

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岩波新書
シオニズム - イスラエルと現代世界

  • 著者名:鶴見太郎【著】
  • 価格 ¥1,232(本体¥1,120)
  • 岩波書店(2025/11発売)
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  • ISBN:9784004320876

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内容説明

イスラエルはなぜ国際社会の反対や懸念をよそに,ガザを徹底して攻撃するのか.パレスチナにユダヤ人の民族的拠点をつくるという思想・運動である「シオニズム」.ホロコースト以前に東欧で生まれ,建国後はイスラエルを駆動し続けるこの思想の起源と変遷をたどり,その多様性と核心に迫る.現代世界を読み解く必携の1冊.

目次

まえがき
最重要カタカナ語一一選(人物/ユダヤ・イスラエル関連用語)
序章
用語の起源
独立運動か,植民地主義か――シオニズムの両義性
シオニズム理解における西欧中心主義
第1章 帝国への適応――国民国家以前のシオニズム
1 ヨーロッパ史とユダヤ人
シオニズムの孤高な先駆者たち
ユダヤ人口の中心としてのロシア帝国
ポーランド時代の「植民地化された植民者」
ロシア帝国下のユダヤ人
2 ロシア帝国とシオニズムの発生
一八八一年のポグロムとレオ・ピンスケル
ネーションという概念
パレスチナ入植と実践的シオニズム
アハド・ハアムと精神的シオニズム(文化的シオニズム)
ヘルツルの登場
ロシア帝国内政治での飛躍
反シオニズム
3 伝統との確執と経済問題
同胞への苛立ち――「民族詩人」ビアリク
伝統的共同体の弛緩
モシェ・レイブ・リリエンブルムと経済
ロシア・ユダヤ経済の変化
社会主義シオニズム
アロン・ダヴィド・ゴルドンと農業入植
キブツ
「労働の征服」
多数派の重視
「ユダヤ文化」を定義することへの抵抗
第2章 東と西のあいだで
1 誰が真のユダヤ人か
西欧の魔力
「ウガンダ」論争
2 東からの迷惑な同胞
ドイツのユダヤ人とシオニズム
3 オリエンタリズムの連鎖
オリエンタリズム
ユダヤ人のなかのオリエント
オリエントの分割
第3章 戦間期の遺産――「民族」の国際化とファシズム
1 第一次世界大戦・ロシア内戦とポグロム
第一次世界大戦とユダヤ人
ロシア革命後の内戦とポグロム
ポグロムの影響
2 「民族」の国際化――強制移住・住民交換・マイノリティ保護
ネーションと民主主義
「西ユーラシア東部」での強制移住の歴史
住民交換
マイノリティ保護
ホロコースト
3 ファシスト的権威主義との共鳴
シオニストのあいだのイデオロギー対立
修正主義シオニズムの源流 その1――ジャボティンスキー
修正主義シオニズムの源流 その2――青年組織ベタル
世代交代とパレスチナとの連動
第4章 イスラエル建国と植民地主義
1 祭り上げられたユダヤ人国家
改めて,独立運動か,植民地主義か
入植者植民地主義
シオニストが学んだ世界の再編
パレスチナ分割という発想
「ユダヤ人問題」を厄介払いする
アメリカの消極的支持
ソ連の豹変
フランスとチェコスロヴァキアからの支援
2 シオニズムのアラブ観
初期のパレスチナのイメージ
「アラブ人」というカテゴリ
アラブ観のバリエーションと変化
アラブ人との距離感
穏健派のアラブ観
3 エスニック・デモクラシーの遺産とエスノクラシー
潰えたソ連式の解決策
もう一つの東欧式
エスニック・デモクラシー
エスノクラシー
ソ連からの加勢と国民国家法
第5章 シオニズムのイスラエル化とホロコーストの影
1 多様性の統合と裾野の拡大
イスラエル人口の多様化
マムラフティユート(国家性)
イスラエルとディアスポラの関係
2 ホロコーストのイスラエル化
ホロコーストの記憶
アイヒマン裁判と記憶のフラッシュバック
ホロコースト教育
被害者意識ナショナリズム
ホロコーストの記憶にもかかわらず
ゆえにこそ
3 記憶の共同構築と新たな「反ユダヤ主義」定義
ホロコースト後のケア
西ドイツによる補償
ドイツの加害者意識ナショナリズム
国際社会によるケアの不在
第6章 シオニズムと宗教
1 キリスト教シオニズム
キリスト教シオニズムの起源
アメリカにおける福音派のシオニズム
2 宗教シオニズムの興隆
シオニズムとユダヤ教の関係の類型
宗教シオニズムの過激化
国家との関係
カハネ主義――宗教シオニズム過激派のもう一つの源泉
3 宗教回帰はなぜ起こったか
世代交代
ユダヤ教との分かちがたさ
ユダヤ教の特性
第7章 右派の台頭とゲーテッド・ネーション
1 右派の源流と支持層の拡大
修正主義の変遷
ネタニヤフの思考回路
欧米諸国のイスラモフォビアとの親和性
右派支持への人口変化
2 内外の「対テロ」戦争
テロ激化と壁の建設
「対テロ」戦争
イスラエルのゲーテッド・コミュニティ
3 壁で遮断された想像力
分離壁の長期的影響
ゲーテッド・ネーション
一〇・七
むすび――ケアの不在の帰結
シオニズムと女性
関係性としてのケア
社会問題という視座
国際社会の問題として考える
あとがき
参考文献
図版出典一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

62
『ユダヤ人の歴史』を書いた著者が、イスラエル建国の原動力となったシオニズムについて、その東欧由来に注目して歴史から現状までを概説したもの。先に紹介したパペの著作よりはやや穏健な表現であるものの、その移民植民地主義的な要素は描かれ、それが現在のイスラエルをあたかもゲーテド・コミュニティのようにしているとのこと。一方東欧由来についてもある程度文化的な分析がされる。一方で東欧社会でのポグロム(ある意味その延長線上にホロコーストも位置付く面がある)が謝罪などの「解決」もなく放置されている点への指摘は重要だ。2025/12/16

どら猫さとっち

15
前に「ユダヤ人の歴史」を読んだことあって、本書も読んでいかなければと思い手に取った。題名にあるシオニズムは、「ユダヤ人の歴史」にも触れていたが、本書ではさらに詳しく論じている。パレスチナにユダヤ人民族的拠点をつくるという思想&運動であるシオニズム。それが、どのように発展していったか。これはシオニズムの歴史であり、これからの在り方の書でもある。2025/12/21

バーニング

10
前作『ユダヤ人の歴史』でユダヤ人とはどのような存在であるかを歴史的に描写した著者が、近代以降、特にロシアや旧ソ連地域~東欧あたりを拠点として広がりを見せた「シオニズム」について記述した一冊。「シオニズム」はユダヤ人コミュニティの内部的なナショナリズム運動(あるいは民族意識)だと思っていたが、それはシオニズムの半分でしかない。むしろ、常に外部との関係の中で「シオニズム」は育まれ、イスラエルの建国に繋がり、その後現代まで続くパレスチナとの対立に繋がっている、と認識した方が良さそうだ。2025/12/25

馬咲

7
植民地主義、社会主義、オリエンタリズム、ファシズム等の大きな思想潮流との連関に加え、国際社会の政治経済構造の変化や「ネーション」意識の浸透等を受けて変容してきた等身大のシオニズム像を概説する一冊。シオニズム運動の源流でありポグロムの暴力が頻発した「東欧」や、諸帝国の崩壊に伴い民族単位の強制移住・住民交換・領土分割が正当化された「西ユーラシア東部」といった領域を重視した記述が特徴で、「西側」意識の強い現在のイスラエルを規定している行動原理ないしナショナル・アイデンティティの実際の基盤の重層性を明らかにする。2025/12/26

ポルターガイスト

2
シオニストがパレスチナ・アパルトヘイト体制を築くに至る過程を,彼らが内面化したユダヤ教徒に対する差別的まなざしを軸に描く。含蓄に富んでおり勉強になった。同筆者の『ユダヤ人の歴史』はあえて手にとっていなかったが,この分ならかなり期待できそう。読んでみようかな。2025/12/12

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