内容説明
――第33回小川未明文学賞大賞作品――
小学5年生のわたしには、ひとつ上の兄・ほーちゃんがいます。
ほーちゃんは、わたしとはぜんぜんちがう人間です。
ときどき馬が草原をギャロップするみたいに駆けだしたり、
とつぜん大きな声を空にむけて放ったり。
ほーちゃんのほーちゃんらしさについて、わたしはそれほど「なんでだろうなぁ」と思ったことがないのです。
それがほーちゃんだからです。
そんな兄が、インフルエンザで修学旅行に行けませんでした。
ところがそれをきっかけに、2歳の子どもから79歳のおとなまで、
さらには犬のフジまでまきこむ、やりなおし修学旅行がはじまり・・・・・・!?
重厚なテーマと軽やかな関西弁が織りなす、ふしぎな感動作品。
「ありがとう」の意味や、人とのつながりを見つめなおす物語です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
27
第33回小川未明文学賞の大賞受賞作は、読むだけですーっと心が伸びやかになる良作だった。ほーちゃんのような自閉症の子や、コトコちゃんのようなハンデを持つ子を取り上げるとちょっと気構えてしまうのだが、本作品は全然そういった感情を持たずに読むことが出来る稀有な作品。登場する人物たちが、ハンデを重荷と感じず、自然体で受け入れているからかもしれない。「みんながおなじことを、おなじようにできるのではなくて、できる人ができることをやる。そうすれば、おのずと世の中は成りたっていくものだ」という言葉が個人的に胸に沁みた。2026/06/01
りらこ
22
きょうだい児である伊吹。だいたいきょうだい児って言葉自体違和感ありませんか。とはいえそういう立場で苦しんだり、いろいろ思ったりするのは事実なのでしょう。周りの大人がとても良い。「かなしいとか、しんどいとか、そういう一時の感情に自分を明けわたしたらあかん」まさにまさに。つねに明け渡しがちな自分としては、目が覚める言葉でした。子どもむけの本だけど、大人が読むとよいと思いました。心豊かで素敵な大人たちに会えます。2026/01/16
ときわ
9
私の子育てのころを思い出す。近所には同じ頃に生まれた子が何人もいたので毎日公園で遊ばせて母親同士はおしゃべりしたが、今も覚えているのは。赤ちゃんの時から睡眠時間が極端に短い男の子。夜泣きはあまりなかったようだがともかく寝ないで動いてる。それなのに昼間も元気で遊んでた。仕方ないので夜はそのままにして親は寝てたとか。他には女の子で夜は寝るけど昼間の行動力が半端なく。ともかく動きが素早い。まだやっと歩けるころからジャングルジムに登ってしまう。まるで瞬間移動の速さ。あの子たちはどんな大人になったかなあ。2026/06/05
飲も飲も
7
支援学級に通うほーちゃの妹伊吹。きょうだい児、ASD(自閉症スペクトラム症()、ADHD(注意欠如・多動性)体の病気、心の病気などさまざま。2026/04/10
yumicomachi
5
最初に登場人物紹介の見開きページを見たとき、このボリュームの児童文学にしては登場人物が多すぎるし、それぞれのキャラクターが濃すぎて収拾がつかなくなるのではないかと危惧した。が、それは杞憂で、人物(+犬+猫)の多様な魅力こそがこの物語の肝だということが読むとわかる。インフルエンザで修学旅行に行けなかった兄・穂高のために代わりの旅行計画が立ち上がり、最初はしぶしぶ手伝っていた小学五年生の主人公・伊吹の成長が自然に描かれてワクワクと楽しい。第33回小川未明文学賞大賞受賞作品として2025年12月2日第1刷発行。2026/03/11




