内容説明
「ただ、星を守りたかっただけ――」
現役の文部科学大臣で文壇の大御所作家でもある清水義之が全国高校生総合文化祭の式典の最中、舞台袖から飛び出してきた男に刺されて死亡する事件がおきた。逮捕された男の名前は永瀬暁、37歳。永瀬は逮捕されたのち、週刊誌に手記を発表しはじめる。そこには、清水が深く関わっているとされる新興宗教に対する恨みが綴られていた。また、式典に出席していた作家は、永瀬の事件を小説として描く。ノンフィクションとフィクション、ふたつの物語が合わさったとき見える景色とは!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
33 kouch
36
「…夜明け前は1番暗い。ただ陽は必ず昇る」暁の空に輝く金星。主人公だけでなく登場人物全てが闇の中で、もがき輝いている。安倍さん銃撃事件がモデルになっているようにも見えるが、ストーリーは全然異なり、後半の方はそんな設定さえ忘れてしまうくらい独自の展開をする。電車でどこまで行けるか…2人が旅に出るシーンが青春ものように爽やかで、陽が昇ってゆくような期待があるが、そう簡単に幸せにはならせてくれない歯痒さが辛い。金星はどこまでも金星で、闇の中でこそ輝きが見えるのだろうか、そんな刹那さが残る作品でした2025/11/16
葵
25
安倍元首相の暗殺事件を元にかかれた物語なのだなとわかる、宗教の犠牲になった人物の手記で始まる話。現実の話にちょっと脚色を加えただけの物語とは、湊かなえさんの作品にしては安易かなと思いながら読み進めたら、後半の小説家のパートで意外な展開となった。実際の事件を想起させる話ではあるが、全く違う小説ならではの物語だった。最近忙しく疲れているからか老眼のせいか、小説を集中してよめなくなってきたと感じていたのだが、この作品は入り込んで一気読み。面白ければやはり集中できるのだなと感じられた読書時間だった。辛い話だが…2025/12/01
ちょん
24
オーディブル🎶まず、義勇さんとしのぶさんの声でこの物語が聞けたことに感謝ー!!ありがとうございます、ごちそうさまです。今ちょうど裁判やってますね。そんな事件をこんなふうに物語に書き起こしてしまう湊かなえさんが凄いけど怖くもある。「これしか方法がない」って思ってしまったのかな。人を捌くための法律はあるけど、守ってくれるものって分かりにくい。2025/11/28
あゆみらい
20
オーディブルにて。まさに今裁判が行われている安倍元首相銃撃事件を彷彿とさせる宗教二世の話。前半後半があり、二人の立場からの物語が最後につながる。じっさい宗教二世って、親の地獄があって逃げられない分つらいだろう。人を殺していい理由にはならないが、彼らを救う手だては必要だと思う。タイミングよく読めてよかったなと思う。またオーディブルだとぽっかりぼーっとして聞き損ねてる部分があるので、再聴する必要がある(私だけ?)2025/11/22
ネック
10
最後の展開にするために結構都合よく進んでるように感じてあんまり好きくない。 クソな母親は相変わらず読んでて面白い。からそこはいいんだけど、運命の2人的な話はちょっと食い合わせ悪くねーかな。どうしてもあの事件を想起させる設定でなんかこの話に集中出来ない。わざわざこんな似たような話にしなくてもいいような、そのせいで今作はかなり作り物めいて感じてしまい、閉塞感が薄い。 夜明け前が、、、、って何回言うの(笑)2025/11/19
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