内容説明
『利己的な遺伝子』著者による不朽の名著を初文庫化! 陰謀論やイデオロギーでは敵わない、世界そのものに宿るセンス・オブ・ワンダーとは? 翻訳は『生物と無生物のあいだ』などの著作で知られる生物学者の福岡伸一氏。
「本書『虹の解体』は、あまたあるリチャード・ドーキンスの著作の中で、最もすばらしいと思う作品である。それは私自身が翻訳したこと――つまり究極の精読をした読者であるいうこと――も理由のひとつではあるが、切れ味のよい彼の筆致が最高潮に達しているという点が最大の理由である」――福岡伸一(「文庫版訳者まえがき」より)
プリズムを用いて光を七色に分解すると、虹の詩情は消え去るか? 否、新たな美と驚異の世界が開かれるのだーー。デビュー作『利己的な遺伝子』に対して「冷酷で救いがない」と思わぬ批判を浴びたドーキンスは本書で、進化論や物理学がもたらす「センス・オブ・ワンダー」を明快に説く。この宇宙を織りなす究極的な秩序とは? イデオロギーを排し事実を突きつめることはなぜ重要か? 科学論の金字塔を福岡伸一の名訳で贈る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
柚木あんづ🍉
16
ニュートンは、虹の美しさを物理学的に説明してしまったことによって、虹から詩的側面を奪ってしまったのか、という問いから始まるリチャード・ドーキンスの一冊。虹のプリズムや星のバーコードなど親しみのあるテーマを通して語られる物理学や進化論が興味深く、著者の探究心がひしひしと伝わってきた。もちろん専門的なところは字面だけ滑るようにしか読めていないのだけど、ホースから水を出した時に現れる虹や色付いた紅葉やイチョウに、なぜ?を投げかけるようになり、毎日が俄然面白くなる、という変化が日常に起きたのが、とても嬉しい!!!2025/11/30
のこのこ
5
虹の原理が科学により明かされたことで、虹の持つ詩情が失われたと嘆くキーツの詩に対し反駁し、センス・オブ・ワンダーを喚起するドーキンスによる著作。 文理を横断する感性を持つことは、言葉により世界を再構築する文学的営みを享楽するうえでも不可欠なのではと思って読んだ。 結構長いけど、それなりに楽しめたのはドーキンスの文章のセンスに救われたところが大きい。 世界は目を凝らしたり、本から目を上げた時により一層美しく見えると常日頃思っているため、ドーキンスが本書で伝えようとしたことは実は直感的に知っていた。2026/03/31
オズ
4
「プリズムを用いて光を七色に分解すると、虹の詩情は消え去るか?否、新たな美と驚異の世界が開かれるのだ」 疑似科学や占星術への批判もしっかりしている。一方で、ついつい不確かな因果関係を幻視してしまう人間のサガが、より単純そうに見える動物の世界でも起こり得ることを紹介している。あたかも雨乞いをする未開人であるかのような、ハトの奇妙な行動。2026/05/03
ましろ
2
利己的な遺伝子の提唱者の本。自信満々に自説を唱えられると、ちょっとイラッとするけど、世の中の偏見に対して事実を突き詰めると、最後に美しさが残るというのは悪くないと思った。2026/01/25
linbose
1
★★★★☆ 詩人キーツは、ニュートンが虹を科学的に解明したことによってその詩性を解体したと非難するが、ドーキンスは科学に対するこのような批判に対して、科学は新しい詩性を開くものだと強調する▼また似非科学的なもの、子供だまし、神秘性といったものを厳しく批判しているが、「神は妄想である」の宗教批判もそうだが、ドーキンスの指摘には容赦がない。グールド批判は、利己的な遺伝子の核心に関わる論争であろうから、批判すべきはきっちり批判する必要があろうが、それにしても言葉が辛辣。上から目線どころではなく、却って清々しい?2026/02/17




