内容説明
「新しい歴史教科書をつくる会」とは何だったのか。
―〈日本〉という居場所をもとめて「つくる会」につどう人々―
「新しい歴史教科書をつくる会」を一事例に、保守系ナショナリズム運動の草の根的活動を担う、自称〈普通の市民〉たちのメンタリティを実証的に分析する。人々の心の闇のひろがりによる共同性の喪失を浮き彫りにし、現代日本のナショナリズムの行方を問う。
目次
序文 小熊英二
第一章 「左」を忌避するポピュリズム 小熊英二
―現代ナショナリズムの構造とゆらぎ
第二章 「新しい公民教科書」を読む 小熊英二
―その戦後批判を点検する
第三章 <普通>の市民たちによる「つくる会」のエスノグラフィー 上野陽子
―新しい歴史教科書をつくる会神奈川県支部有志団体「史の会」をモデルに
第四章 不安なウヨクたちの「市民運動」 小熊英二
あとがき 上野陽子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
15
2003年刊。「新しい歴史教科書をつくる会」横浜支部の実地調査(上野陽子)を基礎として、小熊英二が同運動のバックボーンを分析していくユニークな構成。卒論が本になるってのも凄いよな。「健全な」「ごく普通の」市民という自意識を持つ人々が、「サヨク」への反感だけを軸にゆるくつながる集団。ただし彼らの持つ「サヨク」イメージは至って薄っぺらなもので、なぜこれが標的に選ばれたのかは正直よく分からなかった。共産主義は死んでも反共主義だけは生き残ったかのような。2023/09/14
もてぃ
6
2000年代初頭の「つくる会」およびその下部組織「史の会」への参与観察をメインに、草の根保守運動の実態を研究した一冊。私自身はかなりリベラルよりの思想を持っているが、だからこそ普段あまり関わらない保守派の考えは新鮮で面白かった。上野氏の論文自体はあまり読みやすいとは言えないが、小熊氏による前後の補足的な考察は明快。17年前にこれだけ草の根保守の性質を看破できる人がいたことは驚嘆に値する。一方でこれだけ分かっていてもヘイトの過激化や右傾化が(世界的に見ても)と進んでしまったのはなぜなのだろうか。2021/05/09
ジュン
6
「となりのウヨク」を罵らずに考えた珍しい本だと思う。特に、一定の共感をもって「史の会(つくる会の支部)」を観察した上野の視点と、それを前後で補った小熊の構成がいい。 2016/01/21
のぼりけんたろう
6
10年前の本だが、本書の〈たとえ「つくる会」が消滅しても、これを生んだ土壌(要するに、個の不安)は生き残り、「在日」「外国人労働者」などが新たな標的となるであろう〉旨の仮説と予見は、コリアタウンのヘイトスピーチを経験した今、とても重い。2014/02/05
Kooheysan
4
「新しい歴史教科書をつくる会」運動における、教科書検定から採択(2000~2001)のころ、この運動に関わった<普通の市民>を自称する人々を追った研究。生々しい証言が盛りだくさんの研究自体も重要ですが、それを受けた小熊氏の論考は今なお読む価値があると思います。普通ではないもの(例えばサヨクとか中国)への攻撃を先鋭化させ、そうでない自分は普通であるとして、弱い自己を保っていた、といったところでしょうか。「日本が一番」「素晴らしい国ニッポン」とか、そろそろかっこ悪いことに気づきたいところです。2025/06/12
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