内容説明
2025年度(第35回)
Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作
みんな、なに食べて、どう生きてるんだろ?
福島第一原発事故から14年、国道六号線(ロッコク)を旅して綴った
温かくておいしい記憶
再生と希望に出会うノンフィクションエッセイ
「福島第一原発事故後を描くのにこんな方法があるのかと驚き、
最後まで見届けなければと思った。(中略)
川内さんが聞き取った孤独な語りも、積み重ねてみれば深い場所でみんな手を繋いでいる。
孤独だけど、孤立してはいない。
川内版の新しい「ロッコク地図」を頼りに、私も旅に出てみたい」 選評より
……最相葉月(ノンフィクションライター/選考委員)
目次
・目次
はじまりのナポリタン
1 いのはなご飯てなんだ
2 チャイと愛、繰り返される夜明け
3 カツサンドと見上げたソア
4 「3.11」という日常と非日常
5 小さなおうち、具だくさんのお味噌汁
6 鶏ガララーメンと月面探査機
7 もやい直す人々の餃子
8 風が吹いたその後で
9 嵐のむこうのビスク鍋
10 愛と涙と勇気の中華丼
11 それぞれのカントリー・ロード
12 赤い月という名のじゃがいも
13 自分だけの地図
14 大熊町のカクテルで酔っ払う
15 ざくぎり野菜で作る男のズボラ料理
16 その柿を食べるのか
17 星空のクラムチャウダー
18 うまれたての「あったかキッチン」
19 人間は料理をする
終 ここにいられて嬉しい
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
68
福島第一原発事故から14年、国道六号線(ロッコク)を旅していろんな人に出会った記録。インド人のスワティカさん、カナダに住んでいた渡辺さん、中国出身の大竹さんなど外からやってきた女性たちの話に心震えるような思いだったが、東京電力OBの石崎さんの話で頭をガツンと殴られたような気が。私たちは電力がないと暮らしていくことはできないし、本当はもっとエネルギー問題について考えないといけないはずなのに、一体何をやっているのかと。未来について考えさせられる素晴らしいエッセイ。多くの人に読んでほしい。2026/01/28
どんぐり
67
ドキュメンタリー映画『ロッコク・キッチン』と同時に書き下ろされたノンフィクションエッセイ。原発事故から13年を経た福島の国道6号線(通称「ロッコク」)沿いで出会う帰還住民、移住者、仕事や復興のために来た人びと。「昨日の夜、何食べました?」と訊ねながら、台所という最も生活に近い場所から、この地に生きる人びとの日常を映し出す。ナポリタン、いのはなご飯、男のズボラ料理など、さまざまな食が登場する。なにはともあれ、生きることは食べることだ。映画はまだ見ていないけれど、そのうち見てみようと思う。 2026/05/20
たまきら
36
新刊コーナーより。まず、国道六号線をロッコクということにビックリする。だって自分のような東京下町エリアもんには「水戸街道」だからだ。そしてこの本を読んでいてハッとする。そうか、福島まで続くこの道には、地域ごとの思いがあるんだ、と。福島第一原発事故のあと。さらにそのあと。電力で東京と福島が結ばれているように、この道が人を、思い出をつなぐ。「チャイと愛」にほろりとしました。旅に出て、人と出会いたいーそんな気持ちを痛烈に感じさせてくれる一冊です。素晴らしかった。2025年Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作。2025/12/11
ケイティ
33
福島第一原発の横を通る国道6号線(ロッコク)を旅して綴ったエッセイ。「ロッコク沿いに住むみんなは、何を食べて、どう生きているのだろう?」と、現地でさまざまな人に話を聞いていく。それはまるで生活史の聞き取りのようで、人の数だけ現実がある。『パリでメシを食う』でも思ったが、県外からの移住者や戻ってきた住民は確固たる意思や決意より、何らかの流れで辿り着いた人も多い。だが、復興が困難な状況下で、誰もが自分なりの光、普遍的希望を見出そうと水面下ではもがいている。すぐにでも福島に行きたくなる、とても良いエッセイ。2025/12/12
kan
28
帰宅困難区域を通る国道6号線、通称ロッコク沿いに生きる人々の物語に耳を傾け、調理するものを一緒に食べ、心を通わせ、仲間を増やし関係性を広げていくエッセイ。note風で読みやすいが、多様な人生を一冊の本として束ねる軸が弱く、焦点がぼやけた印象を受けた。本書の中心にあるものは、人々の暮らしや人生や料理というより、それを映画にしようとする「私(著者)たち」の物語なのだろう。インタビュイーよりもインタビュアーが前面に出てしまっている。本筋に関連の薄い描写も多く、リアルではあるのだが、期待していた内容ではなかった。2026/03/19




