ちくま新書<br> 倭寇・海商・華僑 ――海はいかにして歴史をつないだか

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ちくま新書
倭寇・海商・華僑 ――海はいかにして歴史をつないだか

  • 著者名:松尾恒一【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 筑摩書房(2025/11発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480077158

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内容説明

西洋列強の進出、信仰の伝来、生活文化の変容――世界をつなぎ歴史を更新してきたのは、国境のない海を主戦場とする海賊や海商たちだった。日本を含む多国籍海賊となっていった「倭寇」、日本へ渡り外国の文化を伝えた「海商」、日本の近代化に貢献した「華僑」。時に権力と結びつき、時に非合法的な方法で、彼らは荒波を乗り越え、いかにして新しい文化を届けたのか。大航海時代から現代まで、海を越えて伝えられた文化に焦点を当て、新しい視点から東アジアの歴史を描きなおす。

目次

はじめに/I 倭寇──世界をつないだ多国籍海賊/第1章 倭寇と大航海時代/蒙古襲来/大航海時代の起点となった海賊/宗教改革とオランダの世界進出/レコンキスタとポルトガルのアジア進出/応永の外寇と明朝貿易/国家間貿易から民間貿易へ/植民地化をめぐる争い/ポルトガルを日本に導いた海賊/第2章 東南アジアを目指した中国海賊/人々を夢中にさせる海賊の悲恋物語/李旦から鄭芝龍、そして鄭成功へ/移動する海賊たち/愛国の女神林姑娘/タイ深南部のマレー系ムスリム/「地獄の入口」と呼ばれたポトシ銀山/警戒された大海賊/海賊林鳳のマニラ襲撃/スペインと「倭寇」の戦い/鎖国の時代へ/華人のフィリピン進出/在留華人の同化と隔離/現代マレー半島の宗教対立/モスク建設をめぐる問題/二〇〇四年の同時多発テロ/完成しないモスク/第I部、結びに/II 海商──日清・日蘭貿易と激変する世界/第3章 貿易はどのように行われていたのか?/キリスト教と鎖国/展海令と日清貿易/海関での貿易管理/ムスリム商人の盛衰/アヘン戦争敗戦から五港開港へ/唐通事の設置/長崎会所による貿易管理/銅の輸出/清の貨幣経済を支えた日本の銅/銅山の発見と新たな精錬法/朝貢貿易から国家間貿易へ/レアアース採掘の過酷な環境/ファストファッションはなぜ低価格を実現できるのか/第4章 日清・日蘭貿易で激変した生活/大航海時代がもたらした新たな作物/米はハレの日の儀礼食/茶と仏教/甘くなかった饅頭/カステラいちばん/木綿──新素材の恵み/東北地方への波及/東南アジア産の木綿ファッション/エキゾチックな更紗、絣、緞通/木綿帆布による物流革命/イギリスの産業革命とインド木綿/アメリカの木綿プランテーションと黒人奴隷/ジーンズの誕生とヒッピー文化/木綿がもたらしたファッション革命/第II部、結びに/III 華僑──日本に渡った華人たち/第5章 清の海商から在日華僑へ/日清交易の終焉/唐人屋敷の解体/長崎拠点の華商へ/中国の民俗神を祀る唐寺/三刀──理髪・料理店・洋裁/西欧技術を伝えた華僑たち/船舶・洋館・橋梁の塗装/西洋人のための洋服づくり/華僑と商業/契約労働者という奴隷/人身売買のネットワーク/マレーの錫鉱山と苦力/「からゆきさん」/アジアに渡った日本人/日本仏教、東南アジアへ/「からゆきさん」の労働環境/「からゆきさん」の実態/悲しき子守歌/第6章 戦後の華僑/原爆投下と長崎復興/華僑への特別配給と闇市/長崎の観光資源となった中華文化/媽祖行列の復興/尖閣諸島をめぐる日中台問題/政治利用される媽祖信仰/横浜中華街関帝廟をめぐる訴訟問題/中国起源の盆行事/マレーシアの華僑/ペナンの華人と中元普度連合会/面燃大士が祀られる檳州中元連合会館/各地の中華学校/日本華僑の普度会/華人教区と中華学校/華僑の公共墓地/戦災・災害の記憶を伝える/戦後日本華僑への視点/第III部、結びに/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

9
タイトルから想像・期待される内容と実際の中身とで少しくズレがあるなあという印象。特に海商について扱う(はずの)第Ⅱ部でそれを強く感じた。また現代とのつながりを強調するのはよいのだが、結びつけが強引な部分があるのも気になった。内容自体は、林道乾ら東南アジアで活躍した中国海賊の事跡と現地での信仰の関係など、興味深いものも多い。2025/11/14

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