内容説明
「大祖国戦争史観」――それは、ソ連がナチス・ドイツを撃破したことで欧州を「解放」したという独ソ戦(大祖国戦争)での勝利を称える現代ロシアの歴史認識。しかしながら、欧州の目に映るそれは、「独裁体制」による「新たな占領」に他ならなかった。
続々と異を唱える欧州諸国をまえに、現代ロシアの歴史認識論争は、二国間から多国間へ、さらには舞台を国際機関へと移し、グローバルに展開されてゆく。
プーチン政権はいかにして「大祖国戦争史観」の正当化・喧伝を図っているのか。そしてそれは、「非ナチ化」を掲げてはじまったロシア・ウクライナ戦争にどう結びついているのか。本書は、膨大な資料をひも解くことで、その実態・ダイナミズムを明らかにする。
――小泉悠氏による推薦文全文――
戦勝の記憶がプーチンを突き動かす
ウクライナ戦争を正当化するロシアの歴史認識とは
膨大な資料を縦横無尽に駆使し、
協調と対立のダイナミズムを解き明かす
若手研究者による渾身の一冊
目次
序章
第一章 大祖国戦争の記憶
第二章 顕在化する歴史認識論争
第三章 国連での活動
第四章 「共通の記憶」としての戦勝
第五章 第三国との協力
補論 交錯する日中ロの戦勝八〇年
第六章 パンフィーロフの二八人
第七章 よみがえるスターリン
第八章 法律が統べる歴史解釈
終章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
14
2025年10月刊行。著者は1985年生まれのロシア専門家。ロシアでは、ソ連が多大な犠牲を払って欧州諸国をナチス・ドイツから解放したーという「大祖国戦争史観」が主流の歴史認識だ。ロシアは、対外的にもこの歴史観に基づく活動を展開している。ラトビア、エストニアのナショナリズムへの批判が例。国連では2010年以降、ニュルンベルク裁判の正当性を強調する総会決議を毎年採択させてきた。一方、欧州議会は、ソ連による欧州「占領」批判を強調するようになった。ウクライナ侵攻前から歴史を巡るロシアとEUの緊張が高まっていた。2025/11/06
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