内容説明
近現代科学文明が欧州で発祥したことは確かだが、その礎にあるイスラーム文明が等閑視されがちであることに著者は警鐘を鳴らす。
古代ギリシア・ローマ文明の知を継承し、宗教や民族の壁を越えて千年にわたり発展させてきたイスラーム文明の歴史を平易に紹介する入門書。
目次
はじめに
序章
1. ギリシア文明とのつながり
2. 都市の宗教
第1章 イスラームとは何か
1. イスラーム略史
2. アブラハムの宗教
3. 今日のイスラーム――世界第2位の宗教勢力
4. 在家の宗教――政教一致的な理想
第2章 ギリシア科学の受容
1. ギリシア語文献の移入
2. イスラーム支配の特徴――語られない2つの事実
3. イスラーム文明の特徴
第3章 ギリシア文明の継承と発展――大翻訳事業
1. ギリシア思想の導入
2. イスラーム科学(アラビア科学)
3. イスラーム科学の特徴
4. ハッラーンとのつながり
第4章 イスラームのイベリア半島征服とヨーロッパへの伝播
1. 後ウマイヤ朝期(756-1031)
2. シリア方式の再興
3. コルドバとトレドの役割
第5章 商業活動の発展と航海技術
1. イスラームと商業活動
2. 自由貿易地域の出現
3. 航海技術の進展
4. 鄭和(1371-1434?)の遠征
5. 旅行家イブン・バトゥータ(1304-68/77?)
6. シチリアのイスラーム文化とフリードリヒ2世(1195-1250)
7. 地理学者イドリースィー(1100?-65?)
第6章 エレガンスと生活文化
1. 『千夜一夜』
2. 『千夜一夜』の世界とズィルヤーブ(ジルヤーブ)
3. エレガンスの基礎――ズィルヤーブの貢献
4. 料理とスパイス
5. 砂糖とコーヒー
第7章 錬金術、数学、天文学
1. 錬金術と化学(al-k miy ’)
2. 数学(al-riy d? yah)
3. 天文学
第8章 医学者と哲学者
1. 医学(?ibb)の発達
2. イスラーム哲学の展開
3. アヴェロエスからスコラ哲学へ
4. 高名な哲学者
第9章 西洋中世哲学への影響
1. イスラームとの出会い
2. 初めてのラテン語訳クルアーン――不正確な翻訳
3. ラテン・アヴィセンナ主義とラテン・アヴェロエス主義
4. ラテン・アヴェロエス主義の禁止令
第10章 イスラーム芸術の世界――アラベスクと建築
1. イスラームと芸術
2. アラビア書道
3. アラベスク
4. 幾何学文様
第11章 十字軍の歴史とレコンキスタ
1. 聖戦はキリスト教の思想
2. 十字軍
3. レコンキスタ
第12章 西洋の発展――脱イスラーム文明
1. 十字軍の後遺症――ゆがめられたイスラーム像
2. ギリシア・ローマへの帰還
3. イスラーム文明からルネサンスへ
4. ルネサンスにおけるイスラーム文明の役割
第13章 イスラーム文明・近代文明の源流としての意義
1. イスラーム文明の影響を否定する人々
2. イスラームへの反感――ヨーロッパの一体感の確立
3. イスラーム文明とは何だったのか
アラビア語から英語に入った単語
本書で参照・参考にした文献
索引
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