白水Uブックス/海外小説 永遠の本棚<br> 蒼老たる浮雲

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白水Uブックス/海外小説 永遠の本棚
蒼老たる浮雲

  • 著者名:残雪【著】/近藤直子【訳】
  • 価格 ¥1,683(本体¥1,530)
  • 白水社(2025/10発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784560072240

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内容説明

遥かな風の夜の悪夢にも似た不思議な小説
隣り合せの家に住む二組の夫婦の奇妙な物語

隣り合せの家に住む二組の夫婦の奇妙な生活。異様なイメージと出来事が奔流のように押し寄せる、現代中国文学の最前衛、残雪の衝撃作。

棟続きの家に住む二組の夫婦。戸口の梶の花のにおいに心乱された更善無(コンシャンウー)は、隣家の女、虚汝華(シュイルーホア)に怪しげな挙動を覗き見られて動揺する。虚汝華の夫の老况(ラオコアン)は生活能力のない男で、しじゅう空豆を食べている。女房の好物は酢漬けきゅうり。家の中では虫が次から次へと沸いて出て、虚汝華は殺虫剤をまくのに余念がない。ある夜、梶の花の残り香の中で、更善無と隣家の女は同じ夢を見た……。髪の毛が生える木、血のように赤い太陽、夥しい蛾や蚊、鼠。死んだ雀。腐った花の匂い。異様なイメージと夢の中のように支離滅裂な出来事の連鎖が衝撃を呼ぶ中篇『蒼老たる浮雲』に、初期短篇「山の上の小屋」「天窓」「わたしの、あの世界でのこと」を収録。アヴァンギャルドな文体によって既存の文学の枠組を打ち破り、現代中国の社会と精神の構図を深い闇の底から浮かび上がらせた残雪(ツァンシュエ)作品集。

[目次]
蒼老たる浮雲
山の上の小屋
天窓
わたしの、あの世界でのこと―友へ―
訳者あとがき

[原題]蒼老的浮雲

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ

54
正月以降、寒さも重なり、生命保持装置がハレーションを起こしたかのように、らせん状に調子が激下り。知らぬとは言え、名前のイメージでえらい本をチョイスしたもんだ。のっけから「糞、屁、溺れる程の痰、むき出しの尻。。蟋蟀、巨大蛾、毒蜘蛛」ぎらつく太陽と眩しい陽射し。ぶつくさいいつつ排骨をしゃぶりゲップ。まぁ、人間界の基はそんなもんで出来ているとはいえ。空間そのモノを 時間を書くことで 現実と夢の端境を書く。それによって生を自分を語る。後で知るのだが残雪の世界は一切、背景が無い~社会も組織も法も歴史すら無い。 2023/02/02

刳森伸一

6
黄泥街の濃密版といったような感じがする表題中篇と短篇を3つ所収。相変わらず分からない小説だが、それでも慣れてきたのか、なんとなく分かるようになってくるので、人間とは不思議なものだ。とはいえは、「なんとなく」レベルであるのだが。知性で突き詰めて書かれた小説を感覚で読むのは冒涜のような、背徳のような、快楽のような…2020/04/01

今日もおひさま

5
作家、残雪の独創『蒼老たる浮雲』 『黄泥街』とは打って変わって、冒頭に構築される瑞々しい綺麗さは、あまりの世界観のふり幅に驚くほかなかったが、読み進めてみると、連続するがゆえのこの作家の特徴も見えてくる。『黄泥街』が人の生物性や死肉性の意味での生理現象を煮詰めたようなモチーフであったとするなら、『青老の浮雲』は野生生物を基本とした生物性と共に、その際たる人間の生物性をまがまがしく描き、かじり、患い、噛みつき、卑しくも離れない。 https://todayisalso-stroll.com/?p=46102024/11/21

ミコヤン・グレビッチ

5
残雪は「黄泥街」に続いて二冊目。だが、やっぱりわけがわからない。表題作はまだしも、併録の三つの短篇は、もはや小説というよりシュールレアリズムの詩(「解剖台の上のミシンとコウモリ傘の出会い」みたいなやつ)に近い。訳者による巻末の詳しい解説を読めば、作者の生い立ち、文学的な時代背景、各作品の解説に至るまで、ひと通りわかったような気にはなれる。しかし、文学研究にまで踏み込まない読書人としては、理解できたことにして片付けるのではなく、わけがわからないままモヤモヤしているのが「正しい」リアクションのような気がする。2020/04/15

ふゆきち

4
残雪も三冊目ともなると傾向と対策が身についてきます。分からないなりにも『天窓』が良かったです。2022/01/15

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