内容説明
23歳で強制収容所に移送されたツィッピ。グラフィックデザインの腕を見こまれ事務職に就き、さまざまな手段で大勢の収容者の命を救う。16歳のダヴィド。家族を殺害され、同じ収容所に到着した彼は、音楽の才を活かして極限の環境を生き延びる。初めて会った瞬間からふたりは恋に落ち、命がけの逢瀬を重ねる。やがて解放のときがきて、ツィッピはダヴィドと再会を約した地に向かうが──。アウシュヴィッツで出会ったふたりの70年の軌跡を描く傑作ノンフィクション!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
52
ツィッピとダヴィドの半生の共通項と対称性。前者で頭に浮かぶ「死・生・運」の3文字、後者では「支」。物心両面での「死」を通した「生」。極限状態で「生」を左右する「運」。「運」を切り開く可能性を”高める”強い意志と意思、そして嗅覚。後者の「支」、順に能動性vs.受動性。加えて、”時間”が心に齎す影響も印象的。長・短 x 強制的・自由意志。戦後の両者再会、能動性vs.受動性がリバース。表層的には赦し、深層的には融解。ヒトではなく”モノ”への融解(ツィッピの言葉でいうところの”理解”)。思考と心に響く一冊。2026/03/04
石
7
どんな創作物も本物の恐ろしい現実にはかなわないのか こんな状況で人は生きていけるのか、と呆然とするほど収容所の描写は過酷極まりない そんな中でも命をかけて愛しあう人々がいる、ということから、人間の凄さの一面が垣間見える2025/12/01
こーらすまま
4
アウシュビッツで生き残り辛い人生を生き抜いた人々のお話。人の強さや弱さが胸を打つ。『あんたらくっつかんのかーい』な感じもするけど2026/04/24
浦井
2
グラフィックデザインを学んだツィッピと歌唱力のあるダヴィドが悪名高いアウシュヴィッツ強制収容所に送られ、そこで生き延び、出会い、別れ、その後亡くなるまでが綴られたノンフィクション。強制収容所はナチスの殺戮の場所だと思っていたので、そこで数年に渡り"生活"した人がいるとは知らなかった。2026/05/28
siva
1
圧倒的なノンフィクション。スロバキアで生まれたツイッピとポーランドで生まれたダヴッド。二人は強制収容所で出会い、一時を恋人として過ごした。が、それはほんの一部。普通の生活を営んでいた市民にナチスの脅威が忍び寄り、恐怖と絶望のどん底に陥れられ、生き延びた先に開放され、その後の人生を生きた。グラフィックデザインを学んでいたツイッピは収容所で待遇の良い仕事に就き、その立場を利用してできる限り収容者の命を救った。人間は悪魔になる可能性があるんだ。地獄で命を落とした人たち、生き延びた人たちを思うと言葉もない。2026/09/20




