内容説明
約2億5000万年前、史上最大とされる大量絶滅が起きた。海棲生物では生物種の96%が絶滅したという研究もある。シベリア・トラップの火山活動が原因とされているが、大量絶滅のメカニズムについてはまだわからないことが多い。しかも、海と陸、無脊椎動物と脊椎動物、植物では、絶滅の起きたタイミングや規模に差があるようなのだ。従来の研究では、海棲生物、それも化石が多く残っている無脊椎動物の研究が中心となっていた。本書では、海棲無脊椎動物の研究からだけでは見えてこない、生物界全体にとっての、ペルム紀末の大量絶滅を描き出していく。そもそもペルム紀とはどんな時代だったのか? ペルム紀末には何が起きたのか? 三畳紀には生物とそれらを取り巻く環境はどのように回復していったのか? 史上最大の大量絶滅という大テーマを包括的に扱った野心的な一冊。
目次
序章 そのとき何があったのか?
第一部 前夜
第一章 境界前の席巻者 単弓類
第二章 黎明期の登場者 陸棲爬虫類
第三章 古き良き・・・・・・ 両生類
第四章 消えゆく海の主役たち サカナ
第五章 海底の窓から見ると 軟体動物
第二部 世界をまたいで
第一章 植物が紡ぐ
第二章 昆虫が紡ぐ
第三部 新たな時代
第一章 時代を譲る 単弓類
第二章 時代を握る 陸棲爬虫類
第三章 勃興する 海棲爬虫類・両生類
第四章 新世界のメンバー サカナたち
第五章 世界の目撃者たち 軟体動物・棘皮動物
終章 そのとき何があったのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
163
5回の大量絶滅事件ビッグファイブの一つ。ペルム期末期に生物種の96%が絶滅したと言われていた史上最大の絶滅事件に焦点を当てます。石炭紀と三畳紀の間、ペルム期(約2億9900万年前~約2億5200万年前)には、地球上の諸大陸は全て合体し、超大陸パンゲアと超海洋パンサラッサとに分かれていた。大規模火山活動が起因と推測される、この事件が当時の生物たちに与えた影響をイラストを交えて丹念に解説します。甲虫類·ハエ類·ゴキブリ類がこの時代以前から生き続けている大先輩であることに一番驚きます。2025/11/24
とも
21
2億5200万年前、大型恐竜が闊歩するより昔のペルム紀末にあった大量絶滅、これにより96%の生物種が滅んだ。その大量絶滅と前後の動植物を追った本。といいつつ絶滅の要因みたいなところはサラッと流される。要因のひとつに「オリエント急行殺人事件説」が出てくるのが面白い。生物イラストが豊富で図鑑的に読める。複数のシーラカンス類のイラストがツボ。バリエーションがあるのは面白いなあ。2025/12/22
春風
7
地質年代を用いてP-T境界大絶滅とも呼ばれるペルム期末の大絶滅事件。本書では、ペルム期末に2回起きたという史上最大の大絶滅について現在知り得る限りの知見が紹介されている。構成は、大絶滅前夜のペルム期の章、植物と昆虫を扱ったペルム期と三畳紀を跨ぐ幕間、そして大絶滅後の三畳紀の章となっている。謎の多い大絶滅のため、俯瞰してみるとそれぞれのグループに時間差で盛衰があり当時に何があったのかがよくわからないという印象が残る。しかし何より、一般書としてこの時代の古生物書が出たことが嬉しい。2025/10/30
こゆ
2
古生代末の地球史上最大の絶滅において、その前後の生物はどう変わったのかについて扱った本。サカナや昆虫や軟体動物といったマイナーな分類も取り扱っていて、古生物好きな自分でも知らない古生物が多く載っていて勉強になった。自分は黒本の三畳紀や、『前恐竜時代』の本も持っているからペルム紀・三畳紀あたりの知識が妙に増えていってるような気がする。2025/12/13
しゅう
2
ペルム紀の大量絶滅は単弓類が支配するペルム紀から爬虫類が支配する三畳紀に移り変わるキッカケであった。 この絶滅がなければ恐竜の時代は来なかっただろう。 絶滅は何故起こったのかという話はまだ明らかになっていない事が多すぎて少なかった。 ペルム紀にはこんな生物がいましたよ、絶滅後はこんな生物がでてきましたという内容。 2025/11/29




