内容説明
「勧進帳は不敬である！」昭和十年、東京。満州国皇帝溥儀が来日し、亀鶴興行は奉迎式典で歌舞伎の名作「勧進帳」を上演。無事成功するが、台詞が不敬にあたると国粋主義者が糾弾。脅迫状が殺到した直後、亀鶴興行関係者が舞台装置に首を吊った姿で発見――。江戸歌舞伎狂言作者の末裔、桜木治郎が大いなる謎に挑む、驚嘆の“劇場×時代ミステリー”！ あの戦争へ、日本が最後の舵を切った時代を彫刻する渾身作。『壺中の回廊』、渡辺淳一文学賞受賞『芙蓉の干城』に続く、昭和三部作が完結！
目次
１ 芝居とキネマ
２ 溥儀皇帝の観劇
３ 不敬の波紋
４ 不敬の犠牲
５ 新たな出会い
６ 自殺の理由
７ 奈落の案内人
８ 思いがけない抜擢
９ 縊死の真相
10 役割の追求
11 老人の慧眼
12 興行の闇
13 二人目の死者
14 故人の遺作
15 人生のお荷物
16 残された仕事
17 突然の閃き
18 党員の発見
19 スタアの過去
20 活弁の昔語り
21 亡霊の告発
22 残された謎
23 責任の在処
24 長い隧道の先
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