集英社文庫<br> かくも甘き果実

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集英社文庫
かくも甘き果実

  • ISBN:9784087608007

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内容説明

“ここではないどこか”を求めつづけ世界を放浪し、最後には日本で「明治の文豪・小泉八雲」となった男ラフカディオ・ハーン。彼の人生に深く関わった3人の女性が、胸に秘めた長年の思いを語りだす。生みの母ローザ・アントニア・カシマチは1854年、故郷への帰路の途中アイリッシュ海を渡る船上で、あとに残してきた我が子の未来を思いながら。最初の妻アリシア・フォーリーは、新聞記者の夫との別離を乗り越えたのち、1906年のシンシナティでジャーナリストの取材を受けながら。2番目の妻小泉セツは永遠の別れのあと、1909年の東京で、亡き夫に呼びかけながら。――ジョン・ドス・パソス賞受賞の注目作家が、女性たちの胸の内を繊細かつ鮮やかに描いた話題作。

目次

エリザベス・ビスランド(1861―1929) 1906年、ニューヨーク
ローザ・アントニア・カシマチ(1823―1882) 1854年、アイリッシュ海
エリザベス・ビスランド(1861―1929) 1906年、ニューヨーク
アリシア・フォーリー(1853頃―1913) 1906年、シンシナティ
エリザベス・ビスランド(1861―1929) 1906年、ニューヨーク
小泉セツ(1868―1932) 1909年、東京
エリザベス・ビスランド(1861―1929) 1906年、ニューヨーク
謝辞
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

88
2022年に単行本を読み感想を書いたが、2025年文庫になりリアル読書会の課題図書として再読した※。初読時はハーンを帝国の周縁(ギリシャ、アイルランド、アメリカ南部、日本)に置いて相対化する視点が痛快、今回は3人の女性のジェンダーと語り-ともに文盲のハーンの母とアリシアは口述しつつ、自分には読めない記録に何が残るかを意識し(彼女たちの場合、女のネットワークも面白い)、一方小泉セツは、ビスランドによって英語で書かれる記録ではない、彼女にとって無二の私的な記録を残そうとする-が印象的だった。 2026/01/30

がらくたどん

55
ギリシャ人の母ローザにとってはパトリシオ、アメリカでの同棲相手である解放奴隷アリシアにとってはパット、日本での洋妾と噂されながら固い絆を結び正式に日本の法律の下で妻となったセツにとっては八雲として愛した男。欧化で湧く明治日本のフォークロアの魅力を世界に向けて英語で発信した錨のない船のような彼の光と影を、家父長制・黒人差別・女性蔑視というそれぞれの鳥籠からの飛翔を夢見て藻掻いていた三人の女性が語る異色の評伝小説。八雲という鏡に映る彼女達の愛の形は美しく「自分の国の中で異人になる」事への不安と憤慨が切ない。2026/02/20

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