内容説明
曽祖父の謀反に連座し、長く官途から遠ざけられた馬氏。
王莽の治世になり、ようやく官位を得た兄たちはそれぞれ家を出、末子ながら家主となった馬援は、馬を慰めとする日々を送っていた。
罪人をかばい、逃がしたことによって追われる身となった馬援は、北地へ逃れ、牧場経営で成功を収めるが、王莽への反乱軍が各地で蜂起、新たな政権が乱立する戦国の争いに巻き込まれてゆく。
馬騰・馬超の祖であり、光武帝・劉秀の臣下として後漢統一のため力を尽くした武将・馬援の非凡な生涯を描く。
「馬上の星」改題。
〈解説〉平尾隆弘
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
宮城谷さんの文庫本最新刊です。「草原の風」「呉漢」に続く後漢の劉秀すなわち初代皇帝光武帝に絡むものです。ただこの「馬援」はどちらかというと後漢の光武帝に絡むというよりもその人物に焦点を当てているようです。武力に優れたというよりも馬や家畜をよく増やしていき平等の思想によって人々がその周りに集まってくるというような人物です。その若いころからの生きざまが描かれています。2025/11/25
Tomoichi
19
宮城谷さんの文庫の新刊を見つけると買っちゃう。ハズレがないからね。光武帝の中華統一の後半に活躍した馬援の物語。最後は支那では毎度お馴染みの讒言によって戦地で亡くなった馬援に鞭を打つ。名誉回復は三代目皇帝の世。2025/12/20
nizi
9
馬援個人に焦点を当てた出世物語。父親と兄弟以外はほぼ架空キャラ。ただし最後が駆け足というか雑。馬援の本領は官職を得てからだと思うが、戦争シーンばかり書いてもつまらないということなのだろうか。2025/12/18
スプリント
8
光武帝を支えた将軍の一人馬援が主人公 将軍になるまでの生涯をじっくり書いているので 戦争シーンは少ない。 大越遠征や公孫述との関係などももっと読みたかった。2025/12/11
サチオ
4
劣等感を抱えた少年期を支えてくれた長兄の思いを胸に自身の信念を貫いた馬援。牧畜を通して観察眼を磨き、下の者と目線を合わせ、富に執着しない生き方は見事でした。自身と同じく不遇を嘆く甥達に語った言葉は正しく金言。「努力とは、いつか射してくる光を冀望せず、闇のなかを歩きつづけることだ。光を外に求めるな。努力をつづけると、ふしぎなことに、おのれが光を発するようになる。人生の成敗は、それを信じるか、信じないか、にかかっている。」「おのれを信じよ。疑えば、この世は疑惑ばかりとなり、一歩もまえにすすめなくなる。」 2025/12/05




