内容説明
【電子版巻末にはにーな先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】
ここは東京・吉祥寺にあるシェア型書店〈本の庭〉。
「棚主」と呼ばれる「小さな書店の店主たち」が店内に思い思いの本を並べて売る、この風変わりなお店には、いつでも小さな「謎」が集まってくる。
青春時代に親友と交換した大切な本の記憶を取り戻したい老婦人。製作者不明の同じZINEを買い続けるお客さんと棚主の攻防。書き込みだらけの「読み跡本」に込められた思い。この書店のはじめの一冊として「売り物ではない本」が置かれた理由――。
見逃してしまった誰かの「思い」が、時を超えて「謎」として目の前に現れたとき、
きっとこの書店の仲間は、それを解く手助けをしてくれる。
書物と珈琲の香り漂う、素敵で優しい「小さな謎解き」の世界へようこそ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
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本棚に収まる数多の世界が私たちを待っている。偶然の贈り物が届いたとき、新しい扉がひらく。本を読み始めると美しい言葉がきらめいてくる。大切な人を夢みる朝も、涙がとけていく夜もある。読み終えたときにしか抱けない感性がある。物語から現実に続く道を越えると思い出に変わり、忘れられない一冊となる。消えゆく記憶は切なさとともに、薄れゆく願いはやさしさとともに包まれている。痕跡は次の読者への手紙となり受け継がれていく。シェア型書店「本の庭」に集う人は本を心の底から愛している。棚主の思いは人と人を紡ぎ、心と心をつなげる。2025/09/01