内容説明
「家族って、なんだと思います?」
「現実の世界では、すんなり完全犯罪を
達成できてしまうこともあるんだって学んだんです」
2011年11月3日、裸の女性が交番に駆け込み、「事件」が発覚した。奥平美乃(おくだいら・みの)と名乗るその女性は、半年と少し前、「妹夫婦がおかしな女にお金をとられている」と交番に相談に来ていたが、「民事不介入」を理由に事件化を断られていた。
奥平美乃の保護を契機として、表に出た「死」「死」「死」…… 彼女を監禁していた「おかしな女」こと夜戸瑠璃子(やべ・るりこ)は、自らのまわりに疑似家族を作り出し、その中で「躾け」と称して監禁、暴行を主導。何十年も警察に尻尾をつかまれることなく、結果的に十三人もの変死に関わっていた。
出会ってはならない女と出会い、運命の糸に絡めとられて命を落としていく人々。 瑠璃子にとって「家族」とはなんだったのか。そして、「愛」とは。
「民事不介入」に潜む欠陥を日本中に突きつけた「尼崎連続変死事件」をモチーフとした、戦慄のクライムエンターテイメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
260
葉真中 顕は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、著者版尼崎連続変死事件、八王子泥沼疑似家族洗脳搾取ホラー厭ミステリでした。著者は、何故このタイミングで本書を書いたのでしょうか❓ ラスボス・ピンクババア夜戸瑠璃子、恐るべし。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639203062025/11/17
いつでも母さん
153
カバー折り返し『生まれて初めて「愛」を与えられた。見返りとして、「すべて」を差し出すことになった。』とある。読後(読んでる間も)の気持ち悪さの根源。だがそこに愛なんてなかったし、そもそも見返りなんておかしいだろ。言いようのない違和感で覆いつくされ事件発覚から13年35日あとの元刑事の会話に、そこに行くか~っ!って私は簡単に引っ張られちゃうんだ。もっと早く、もっと遠くへ逃げなさい。私の声は届かない。助かったのは運が良かったから?巻末にある人物相関図のおかげで何とか読み切った。しかし虚しさが消えない読後感。 2025/11/12
ちょろこ
139
キツい一冊。記憶の片隅の"尼崎連続変死事件"をモチーフに描かれた作品。フィクションとはいえ改めて詳細を知るとかなり精神的にキツい。次から次へと他人の家族に寄生し疑似家族を創り上げていった主犯の女。おぞましい手口に憤りと吐き気。そんな馬鹿なと思う支配のあり得なさ。でももしも自分の心の空洞を埋める言葉を提供されたら…いとも簡単に取り込まれてしまう恐ろしさも感じた。血の繋がった家族に裏切られるのも絶望だな。警察の「民事不介入」が虚しい。とりあえず様子見…それがいつだって取り返しのつかない結果に繋がることも思う。2025/11/23
やっちゃん
128
怖い怖い怖い最初から最後までずっと怖かった。理不尽に自宅に棲みつかれ、しつけと称して暴力監禁で洗脳状態、逃げてもまた捕まるという絶望に次ぐ絶望。ここまで怖い読書体験はなかなかない。善人ヅラして近づいてくる悪人ほど怖いものない。2026/01/25
NADIA
117
かの有名な尼崎事件をモチーフに書かれたフィクション小説。ピンクババアと警察関係者に密かにあだ名される夜戸留美子とその疑似家族たち。狙われればもれなく沼のような疑似家族に一家まるごと取り込まれ、家族同士で暴力を振るい合うようになる。警察に駆け込んでも「民事不介入」とあしらわれ、連れ戻された後はリンチを受けることになる。沼からは出られないのだ。舞台や登場人物は違うが、かなり実際の事件に近いのでは?と感じられる。最後まですべての真相が明らかにならないのはそのせいなのだろうが、少々物足りなさを覚える。2026/01/14




