筑摩選書<br> エメ・セゼール ――「黒人(ネグリチュード)」の発明

個数:1
紙書籍版価格
¥2,310
  • 電子書籍
  • Reader

筑摩選書
エメ・セゼール ――「黒人(ネグリチュード)」の発明

  • 著者名:尾立要子【著者】
  • 価格 ¥2,244(本体¥2,040)
  • 筑摩書房(2025/10発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480018342

ファイル: /

内容説明

現代カリブの最重要知識人セゼールは、『帰郷ノート』(1947)で「ニグロ」の語から「ネグリチュード」概念を創出し、植民地主義を批判。一躍世界的な詩人としての評価を確立した。政治家としても半世紀にわたり市長と国会議員を兼任し、詩と政治の2つの営みによってマルティニークがフランスの「共和国」理念に基づく「都市(シテ)」となることを目指した。セゼールを、彼と共振した人々の歩みとともに、公文書資料やセゼール自身へのインタビューをもとに描き出す、日本で初めての画期的評伝。

目次

はじめに──エメ・セゼールとは/「ネグリチュード」の思想家/「政治」に賭けた詩人セゼール/カリブ海のフランス/「フランス領アンティル」からの闘争/周辺からの共和主義/本書の構成/序章 複数言語を生きること/1 言語から見たカリブ海/島ごとに異なる言語/言語に刻印された奴隷制/2 クレオール語/クレオール語の成立/クレオール文学/フランス語──セゼールの選択/第1章 黒人市長の誕生/1 パリの名門校に記念碑/リセ・ルイ ル グラン/二人の記念碑──セゼールとサンゴール/2 マルティニークにおける幼少時代からパリ時代(一九一三~一九三九)/セゼールの生い立ち/セゼール家の言語/コラム1 ヴィクトル・シェルシェール/パリのセゼール/詩人としてデビュー/3 帰郷した詩人/文芸誌『熱帯』/アンドレ・ブルトン/盗まれた革命──セゼールの歴史認識/作品の出版──サルトルの序文/ヴィシー政府の差別とネグリチュードの受容/4 フランス領カリブにおける社会構造/白人・ムラート・黒人/ムラートの文化的同化主義/5 詩人が政治家になるとき/市長・国会議員に当選/独立か海外県か/コラム2 カリブの島々/第2章 アメリカとアフリカの結節点──セゼールの詩とニグロの問いかけ/1 文学活動、「ニグロ」の声に形/「ネグリチュード」の発明/『帰郷ノート』/奴隷制の告発/白みきった朝に/詩の転換点/ニグロである我々を確認/尊厳を取り返す希望へ/憎しみでなく/2 足枷を解かれた文体/『帰郷ノート』の衝撃/暁でも曙でもない「朝」/ネグリチュードの匂い/白熱へと向かうテキスト/不公正と対峙──伝統からの断絶/3 ニグロからネグリチュードへ/「ネグリチュード」の由来/CとN──大文字の「文明」と大文字の「黒人」/4 発展するネグリチュード文学運動/「黒いオルフェ」──サルトルの序文/セゼールとシュールレアリスム/『プレザンス・アフリケーヌ』創刊/アフリカ的であることを肯定する言葉/5 海外フランスの成り立ちとマルティニーク小史/第二次世界大戦までのマルティニーク/海外四県の成立(一九四六年)/海外県の行政機構/脱植民地化/ハイチの独立と苦難/マダガスカル、ベトナム/アルジェリア独立戦争/独立した国々との関係/ニューカレドニアとポリネシア/第3章 政治家セゼールへ/1 若き政治家の課題/名ばかりの海外県/海外県化運動の源流/2 反体制、あるいは植民地主義批判/奴隷制廃止一〇〇周年の演説/3 植民地神話解体──『植民地主義論』の出版/セゼールの執筆活動/植民地主義は弁護不可能/欺瞞の告発/「文明化」を断罪/当時の植民地の状況/4 「我々自身であるときが来た」──共産党からの離脱/国民的経験としてのレジスタンス/ハンガリー動乱で共産党から離れる/アルジェリア民族解放戦線/フランスの対応とピエ・ノワール/セゼールの公開書簡/我々自身の時鐘/個の進化によって普遍に至る/第四共和制の脆弱性/アルジェリア戦争で共和国が崩壊/セゼールの帰還を迎えた一万人の群衆/5 マルティニーク進歩党の結成/第五共和制──ド・ゴールに反故にされた権限拡大の約束/マルティニークの状況/暴動の発生/左翼勢力を牽制するド・ゴール/熱帯農業の衰退と生活苦/トゥッサン・ルヴェルチュール研究/詩集『鉄鎖』/作品を振り返って/6 職業政治家、あるいはネイションとしての自治を求める試み/セゼールを支えるもの・抑圧する政府/「共和国」を求めるアンティル/「ネイション」と自治要求/自治要求の困難/第4章 演劇と脱植民地化/1 詩集から戯曲へ/演劇に向かった理由/2 『クリストフ王の悲劇』/国家建設の人材/3 『コンゴのある季節』/コンゴ独立/ルムンバ暗殺/セゼールの戯曲/4 『あるテンペスト』/シェイクスピアの翻案/我々はキャリバンである/5 ポストコロニアル/過ぎ去っていかない植民地という問題/マルティニークのポストコロニアル状況/サイードの『テンペスト』解釈/ナラティブの力/捕囚であること/ネイティヴィズムの克服/サイードを導くセゼール/6 セゼールはなぜフランス語で書いたのか/アンティルの言語状況──ダイグロッシア/フランス語で書いたセゼール/言語の「権力」/ネグリチュード──もう一つのフランス/フランス語空間を揺さぶる/相手と同じ武器を持つ/第5章 社会党政権下でのマルティニーク/1 マルティニーク進歩党の「自治」構想と文化活動/ミッテラン大統領以前のマルティニーク進歩党をめぐる政治情勢/セゼールの文化活動──記念日の制定/市文化活動局の設立と人口流入/市民とセゼール/2 ミッテランの大統領選出/左派が大統領選に初めて勝利/ミッテランの三本のバラ/セゼールのモラトリアム演説/セゼールの演説──ミッテラン大統領選出はチャンスである/大臣就任要請/大臣就任を固辞/3 分権化法案と右派の抵抗/見捨てられる不安/分権化法の審議/右派の抵抗──法案成立の曲折/4 分権化の成果と「要求するセゼール」/奴隷制廃止記念日/社会党の変化/要求するセゼール/5 EC統合の進行と海外県/カリブをめぐるECと米国の綱引き/EC市場統合と島の産業/セゼールの認識──我々は低開発国/暗黙の植民地協定/保革共存内閣と超周辺地域の設定/「自治」要求の内容/6 ネグリチュード演説/ネグリチュードの再定義/セゼールへの注目と思想家セゼールの評価/7 ミッテラン第二大統領期(一九八八~一九九五)/ミッテラン再選/第二大統領期の海外県政策/8 詩人=政治家セゼールの軌跡/マルティニークとの約束/土木工事と街/一人の人間のふたつの表現/独立派からの批判/9 周辺的リアリズム──二一世紀のマルティニークでのレファレンダム/独立に向かわなかった理由/二〇〇三年のレファレンダム/二〇一〇年のレファレンダム/州と県の重複の解消/第6章 トビラ法の成立──人道に対する罪としての黒人奴隷制/1 忘れようとしてきた刻印/屈辱的な姓/2 「人道に対する罪」と黒人奴隷制?/バルビー裁判/解釈の拡大と遡及/3 法制化への転換点──一九九八年の奴隷制廃止記念日/一五〇周年記念行事/記念行事への反響・批判/奴隷制は人道に対する罪/追悼行進に四万人/4 議会におけるトビラ法の成立/奴隷制を人道に対する罪と認定/集団としての歴史を承認/刑罰と責任と補償/5 トビラ法の実施と海外県出身者/補償は不要・不可能か/トビラ法へのバックラッシュ/パリ郊外暴動とサルコジ/二つの記念日/五月二三日が求められた理由/トビラの回想/第7章 庶民から見たアンティルとフランス本土/1 フランス本土への組織的移住政策/本土移住は代替ジェノサイド/雇用のミスマッチ/2 本土のアンティル人コミュニティ/第三のアンティル島/「ネグロポリタン」への施策/第三の島の女性/新たなマイノリティ/3 変わる意識/こちらのアンティル人/セゼールの追体験/第8章 二一世紀に響くセゼールのメッセージ/1 文化遺産になった「詩」/ジャン ポール・ゲランの暴言/詩集『失われた身体』/2 賠償をめぐって/奴隷制の賠償は可能か/セゼール──数えられないものには可能な賠償はない/何をなすべきか?/責任と賠償の議論/コルベール像の撤去/責任の可視化──フランス/イギリス/スイス・ベルギー・オランダ/文化財の返還/独立したハイチが支払った「賠償金」/ピケティの指摘/第9章 強力な友愛──共和制とセゼール/1 一九四六年──海外県法案を提案するセゼール/2 セゼールの自由・平等・友愛──二〇〇六年インタビュー/自由・平等・友愛はあるのか?/最も重要な「友愛」/アイデンティティ──フランス人とマルティニーク人/同化政策とアイデンティティの危機/県(デパルトマン)──分割された部分/なぜ海外県化を求めたのか/セゼールの躊躇と五〇年後の結果/マルティニーク人はどこへ/3 セゼールの政治思想──周辺からの共和主義/おわりに/付 セゼールへのインタビュー/インタビュー1/インタビュー2/あとがき/参考文献/エメ・セゼール関連年表/インタビュー・面会者リスト/人名索引

最近チェックした商品