岩波ジュニア新書<br> シベリア抑留とは何だったのか - 詩人・石原吉郎のみちのり

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岩波ジュニア新書
シベリア抑留とは何だったのか - 詩人・石原吉郎のみちのり

  • 著者名:畑谷史代【著】
  • 価格 ¥1,034(本体¥940)
  • 岩波書店(2025/10発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005006182

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内容説明

強制収容所を生き延びた詩人・石原吉郎は,戦争を生み出す人間の内なる暴力性と権力性を死のまぎわまで問い続けた.彼はシベリアでいったい何を見たのか?抑留者たちの戦後を丹念に追った著者が,シベリア抑留の実態と体験が彼らに与えたものを描きだす.人間の本性,私たちが生きる意味を考えさせられる1冊.

目次

はじめに
プロローグ
舞鶴に降り立った人びと/快晴の空のしたで/「喜び」の陰で/消せない記憶を抱えて/「みんな,死んじゃったなあ」/「シベリア」を問い直す
第1章 封印された過去
見たこともない詩/ 詩を支えに/浦島太郎/「シベリア帰り」/日本語との再会/自分を解放するために/仲間の目にうつった詩人/底知れぬ暗さ湛えた目/内なるシベリアへ/重たい言葉/表現するかたち/小さな骨壷/疼くような思い/告発しない決意/肉親への義絶状/詩壇超えた反響/転換点/&lt;人間&gt;として立つために/解かれた封印
第2章 ラーゲリの記憶
敗戦後に始まった「戦争」/ある&lt;共生&gt;の体験/収容所に見た民主主義/故国への屈折する思い/忘郷と望郷/死のとなりで人間の本質は・・・/「数としての死」/
みな,固有の名前をもっている/被害者であること,加害者であること/人間は加害者のなかから/「絶望」を背負って/コラム・香月泰雄のシベリア・シリーズ
第3章 戦後社会との断層
すれ違うまなざし/一人の死者も置き去りにしない/人間の内にあるもの/シベリアを生きる/どうしても書けなかったこと/「戦後」を生きる
第4章 詩人へと連なる水脈
一人ひとりのシベリア/ 自分はどう生きたのか/あの戦争は今も近くに/ 死者の固有の名を呼ぶ/ 現実に向かい続ける意志
エピローグ
付録 三編の詩・石原吉郎
おわりに
石原吉郎年譜
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ステビア

16
石原吉郎の手堅い伝記。2020/08/31

おおかみ

9
戦後の重要な詩人・石原吉郎をテキストに、シベリア抑留が体験者にもたらしたものを読み解く。死の世界を生き延びた石原たち抑留者だが、帰国してもなお救いはなかった。その絶望は石原を屈折させ、唯一無二の詩を編ませた。そんな理解もおそらくは断片的でしかなく、石原が人間なる存在への思索を深め、人生の中に抑留体験をどのように位置付けたのか、戦後80年が過ぎた今、その思考をたどることは容易ではない。何度も読み返す必要があると感じた。作品の数々は忘却の瀬戸際にあるが、それでも確かに影響を残し続けている。2025/10/29

モリータ

9
◆2007-08年の信濃毎日新聞の連載「石原吉郎 沈黙の言葉―シベリア抑留者たちの戦後」をまとめ09年刊。著者は1968年生、同新聞論説委員。詩人・石原吉郎(1915-77)の抑留体験と復員後の詩作・エッセーを軸に、シベリア抑留問題を考える。◆石原吉郎のことを知るにはよいが、ジュニア新書のテーマとしては狭いので、刊行タイトルには難がある気も。◆香月泰男の「シベリア・シリーズ」が挿絵になっている。◆自由を抑圧された人間が、他者を抑圧・侵犯しつつ共生し、生き延びたという、人間性の根源に関する責任、苦悩の昇華。2022/04/01

nbhd

8
石原吉郎その1。とても良いものを読んだ。記者ならではの聞き取りで、沈黙の詩人の肖像が浮かび上がってくる。シベリアで、また日本で、〈人間〉を否定され、みずから否定した果て、言葉を断念したあとに出てくる言葉の数々。はじめての石原吉郎に最適の一冊。ほんとうに良いものを読んだ。2013/02/18

とりもり

7
詩人・石原吉郎に興味を持ち、入門書的に読んでみたのだが、シベリア抑留について何も知らなかった自分に愕然とするほど、その現実は厳しかった。そして何より、その苛烈な日々を過ごしながら待ちわびた祖国に帰った後、その祖国からも受け入れを拒絶されたことが如何に辛かったかは想像に難くない。何よりも、生き延びること=他人を蹴落とすことという、人間の原罪を嫌というほど体験したからこそ、あの言葉を叩きつけるような詩が生み出されたのかと…。生きた証としての「名前」の重さについても深く考えさせられた。オススメ。★★★★★2020/12/27

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