内容説明
人種主義とは,時代・社会に呼応しながらたえず創り出されていく制度だ.アメリカ合衆国の歴史においては,黒人への差別が「人種」という分類概念を生み,その概念がさらなる抑圧を生み出してきた.奴隷制度から,人種隔離とゲトーの時代を経て現代に至るまで,レイシズムとの複雑な絡み合いから合衆国の歩みをとらえる.
目次
はじめに
第一章 奴隷制度と「人種」
1 大西洋世界の形成
2 アメリカ合衆国と奴隷制度
3 奴隷制度の現実
4 奴隷制度をめぐる対立
第二章 ジム・クロウ制度の確立
1 近代国家アメリカの誕生
2 再建の時代と南部
3 レイシズムの新たな姿
4 アメリカの国家統合と人種化する社会
5 黒人としての思想と活動
第三章 大移動とゲトーの形成
1 黒人たちの大移動
2 黒人の思想と文化
3 レイシズムへの抵抗と変革
第四章 現代アメリカ社会と「人種」
1 ハイパー・ゲトーと収監国家
2 レイシズムのなかの「文化」
3 見えなくなる「人種」
4 レイシズムの現在
おわりに──歴史のなかでレイシズムを考えること
あとがき
図表出典一覧
主要参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
113
アメリカは国として成立する以前から、レイシズムが骨がらみになっていた。欧州からの白人移民による先住民を殺して土地を奪い、黒人奴隷を使って農業を行う経済が確立しており、憲法も白人が優先される前提で制定された。ジム・クロウ法やリンチも白人には当然であり、そうした不条理に反抗する黒人やヒスパニックの戦いの歴史が、今日のBLM運動に繋がるアメリカ史の表と裏である実情は、アメリカに夢を抱く人びとの無知を撃つ。ただ著者は黒人音楽など芸能方面には詳しいが、文学や映画では『国民の創生』を除き全く言及がないのは残念だった。2025/11/23
skunk_c
70
アメリカの人種問題を扱った本は多いが、本書はヨーロッパから移住してきた人々が、植民地から合衆国という国家社会を作り上げる過程で、黒人、先住民をいかに扱ってきたかを、17世紀から説き起こす。その中で「人種」概念がどのように「造りあげられていく」かに焦点を当て、現代のBLMまで射程に入れていく。ゲトー(通常ゲットーだが、こちらの方が実際の発音に近い)の形成から現代のハイパー・ゲトーについての部分が興味深かった。またブラックミュージックにも造詣が深く、ブルースやヒップホップの簡潔で的を射た説明が分かりやすい。2025/10/31
1.3manen
56
アメリカをセトラー・コロニアリズム(植民地主義)にもとづく社会と規定する。他地域からの入植者(セトラー)が先住民を排除し、土地を奪って新国家を作る歴史過程を批判的に分析する。豪・加・イスラエル・日(アイヌ排斥し、北海道編入)の事例(ⅹ頁)。ゲトー:黒人を特定の都市空間に閉じ込め、政治的、社会的、安価な労働力として経済的に、従属させるしくみ(120頁)。2026/01/11
そうたそ
11
★★★☆☆ アメリカの歴史を黒人に焦点を当てて書かれた一冊。こうして読むと、アメリカという国の歴史は日本に比べると、多種多様な要素が極めて複雑に絡み合ってきた結果のものだと思わざるを得ない。シンプルに黒人の歴史として読むのにも適した一冊。程良くまとまっていたように思う。2025/12/10
pushuca
8
主に黒人問題としてのレイシズムを通して見るアメリカ合衆国の歴史。思った以上に複雑だった。2025/12/01




