内容説明
わずか数分の街角リポートを懸命にこなす女性タレントと駆け出し放送作家の、中継を通じての淡い交流(「4分50秒の恋人」)。現在は裏方に徹しているかつての名局アナと今をときめく人気お笑いコンビのパーソナリティー対決(「空気に飛ばして」)。放送作家・作詞家・ミステリー作家、転々と肩書を変えながらいつしか元へ戻っている剛腕の男(「どこかではないここ」)。人気アニメのヒロイン役で人気絶頂の声優の、どこか満たされない複雑な想い(「麗しのヴェリーク」)。巡回する警備員が目にする深夜の放送局の光景(「夜を往く船」)。急病で出演を休んだ放送作家が自分不在の番組の展開に気をもむ一夜(「二酸化マンガンの夜」)。手がける番組がどれもヒットする敏腕ディレクターに隠された秘密(「ヒットメーカー(ハック・ラックの誤算)」)。担務変更による番組卒業時、裏方に徹するミキサーの心のうちに湧いた意外な感情(「リバーブ」)。海岸通りにほど近い喫茶店の女主人が語る、店と番組との不思議な因縁(「黄昏ラジオ」)。――ラジオ界のレジェンド作家が、放送局を舞台に繰り広げられるさまざまな人間模様を、甘く切なくコミカルに描く、しゃれっ気いっぱいの作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
56
ラジオ局を舞台にした作品集。ハートウォーミングな物語に、ジーンときました。かつて、一生懸命聴いていたラジオ番組の裏側にこのような物語があったと思いたいというよりもこんなことがあったんだと信じている方が強いかな。表題作「黄昏ラジオ」がまさにツボで、うるうるさせられました。著者ご本人がラジオの方だかから「リバーブ」のような作品が買えるんだと納得。2026/01/11
アボガドみよ
15
ラジオ大好きな私には、もってこいかな?と読みました。ちょっと、私より年代が高い方々向けの内容だったようです。昔は「ハガキ職人、今はなんて言うんだろう?メール職人ですかね~(^^♪2026/03/22
geki
10
ラジオにまつわる人たち、レポーター、作家、パーソナリティ、守衛、ディレクター、ミキサー、リスナー。それぞれのラジオに対する思い。昔、英会話、深夜放送、ベストテン、洋楽、クラシック、競馬中継とお世話になり、社会人になってからはしばらくお留守。再会はアメリカ駐在時の通勤時の音楽番組。今は朝の情報番組、いくつか好きなパーソナリティの番組。うちの子らはラジオ聞いたことないのでは。ミスDJリクエストパレード、鶴光のオールナイトニッポン、KOSEI歌謡ベストテン、コスモポップスベストテン。あぁ、甦る青春の日々。2026/02/04
K
10
ラジオ好きなのでタイトルに惹かれて。出役と裏方の心温まる交流や、ホームレスがヒットメーカーだったとか、なさそうだけどあるかもって思わせるのは、ラジオの世界に身を置いてきた藤井青銅さんが書いているからだろうか。ラジオってテレビより想像を掻き立てるし、今と違って昔はパーソナリティの顔が見えにくいからこそ、表題作のような出来事もさもありなんだなぁと思った。2025/11/10
フリット
7
自分が中高生だった40年くらい前は勿論スマホはなく、テレビがあるのは居間だけで、自室で外の世界とつながるのはラジオだけだった。書店で本作を見て、何故か気になって購入したが、良かった。中でも、往年の人気DJが久しぶりにマイクから声を届けた話がいい。紆余曲折あった日々を過ごしつつ、スマートで控えめな佇まいが何とも格好良かった。あと、そのDJの放送を若い頃に聞いていたママの話も、年月を重ねたからこその味わいがにじみ出て良かった。2026/01/08
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