内容説明
南海トラフ巨大地震─被害想定の見直しで見えてきた課題と着手すべき対策─
政府の中央防災会議は、2025年3月、南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を12年ぶりに公表した。被害が最大となるケースでは、経済被害(資産などの被害と交通寸断を含めた経済活動への影響)は約292.3兆円と前回(2013年)に比べ悪化、死者数(直接死)は約29.8万人となっており、防災・減災対策が思うように進んでいない現実が明らかになった。また同会議は、これまでの防災対策の進捗状況を検証、近年の社会状況の変化や自然災害の特徴などを踏まえて今後実施すべき防災対策を取りまとめ、7月に「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」を発表した。 本特集では、深刻な状況が見込まれる被害想定を概観し、実効性のある防災対策の方向性を解説するとともに、南海トラフ巨大地震に備える自治体の取り組みをレポートする。